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親子で学びたい。我が子に伝えたい。そんな気持ちになれる、やる気が出てくる世界の言葉。歴史上の偉人や名著からピックアップ。その言葉はどうして出てきたのか、お伝えしていきます。
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クリスマスが近いこの時期、夜になるとどこもかしこもイルミネーションで輝いていますよね。
クリスチャンでなくても、日本人にとってはもう馴染み深い行事となっていますよね。小さなお子さんなどは、さぞかし楽しみにしていることでしょう。
そんなこの時期に、クリスマスにまつわる本と言葉をご紹介します。クリスマスが私たちに教えてくれるあたたかいメッセージ、どうかお子さんたちへのプレゼントのひとつにしてください。
【やる気が出てくる世界の言葉】:
この世界で一番たしかなこと、それは大人の目にも子どもの目にも見えないものです
「サンタクロースっているんでしょうか?」/ 中村 妙子 (翻訳)
この本には作者と言える人はいません。いえ、正確にはある1人の男性によって書かれたものなのですが、そもそもこれは本ではありません。今から100年以上前に書かれたアメリカの新聞の社説なのです。
この社説は1897年9月21日、ニューヨーク・サン新聞に掲載されました。バージニア・オハンロンという8歳の女の子から寄せられた、「サンタクロースは本当にいるの?」という疑問に答えた記事でした。
バージニアは、学校の友達に「本当はサンタクロースなんていない」と言われ、父親に疑問をぶつけます。
父親は「ニューヨーク・サンに聞いてごらん。新聞社がいるって言うのなら、本当にいるんだよ」と答えます。それが、新聞にこの社説が載ることになったいきさつでした。
この手紙への返答を任されたのは、チャーチという記者でした。彼が書いたこの社説がとても素晴らしいものだったので、今でもアメリカでは、クリスマスの時期になると各地の新聞でこの記事が掲載され続けています。
チャーチは社説の中で、目に見えるものしか信じないバージニアの友達の姿勢を批判しています。本当に確かで大切なものは目には見えないのだ、と。
誰もサンタクロースを見たことがないからといって、サンタクロースがいないということの証明にはならないと書いています。見えないからといって、まったくのデタラメだということは決してない、と。
1890年代のアメリカは、帝国主義へとつき進んでいく時期です。海外領土の獲得に熱を上げ、国内でも物質主義、実利主義的な風潮が高まっていくのです。
そんな中で、愛と想像力の賜物であるサンタクロースを讃えたこの文章は、きっと当時の人々の心を打ったでしょう。
チャーチが社説の中で言いたかったことは何でしょうか。それは、サンタクロースの正体とは人間の愛や思いやりだということだと思います。
サンタクロースの存在を否定することは、世の中で一番素晴らしいものを否定することになる、と伝えたかったのではないでしょうか。
そして、愛や真心が無くならない限り、サンタクロースはいつまでも子どもたちを喜ばせてくれるでしょう、と説いたのです。
サンタクロースはプレゼントをくれるおじいさん。子どもにとってはその程度の認識だと思いますが、それでも心にサンタが住んでいるというのはとても夢があって素敵なことです。
しかしある時からはその存在そのものに疑問を持ち出し、親はヒヤヒヤしだします。
子どもの心からサンタクロースがいなくなってしまうのは、とても寂しいことですし、その時点で楽しみや喜びが半減した気持ちになってしまいますよね。
子どもが急に現実的になって大人になってしまったような…でも、それはそれ。喜ばしい成長として見てあげてもいいでしょう。
ただ、お子さんに忘れて欲しくないのはこの社説が言うように、サンタクロースは愛だ、ということ。
人を喜ばせたいという愛。クリスマスが一年の中でひときわ輝くのはイルミネーションではなく、人々のそんな気持ちのおかげではないでしょうか。
やる気が出てくる世界の言葉:
この世界で一番たしかなこと、それは大人の目にも子どもの目にも見えないものです
「サンタクロースっているんでしょうか?」/ 中村 妙子 (翻訳)
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この記事を担当した人
藤原 望(ふじわら のぞみ)
1993年生まれ。埼玉県出身。大学卒業後は福祉施設に勤務するが、社会人5年目で一念発起し文章を扱う仕事を目指す。この世で好きなもののトップ3は本、映画、お酒。