新納一哉さん、ゲーム開発にかける想い「やりたい気持ちに、ウソをつきたくない」
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仕事・働き方
2021.03.19
立正大学心理学部名誉教授
齊藤 勇
対人心理学者、文学博士1943年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。現在、立正大学名誉教授、日本ビジネス心理学会会長。 対人・社会心理学、特に人間関係の心理学、中でも対人感情の心理、自己呈示の心理などを研究 。TV番組「それいけ!ココロジー」に出演し監修者を務めるなど、心理学ブームの火つけ役となった。『人間関係の心理学』『やる気になる・させる心理学』など、編・著書・監修多数。
仕事で失敗して落ち込んだり、人間関係がうまくいかなかったり…。ついついネガティブに考えがちな人は、常に前向きで明るい人をみると羨ましく思いますよね? 書店には「ポジティブシンキング」について書かれた自己啓発本もたくさんあって、実践されている方もいるのではないでしょうか。
このポジティブシンキングの考え方は、本能的にあるネガティブな思考を補正して、物事の良い面を見ようと積極的に思考を変えることで、現実の問題を解決しようとする思考法なのです。
例えばコップの中に入っている飲み物が「まだ半分もある」と思う気持ちだけにフォーカスするということです。ただ、いざ実践してみるものの常に前向きにいるのがだんだん疲れてきてしまって、長くは続かないという人も少なくないでしょう。
もちろん、このポジティブシンキングをうまく身につけられたら、いつも前向きな気持ちに切り替えができるようになるので、悩んだり落ち込んだりせず人生も楽しくなります。しかし、落ち込んだ気持ちをポジティブな方向にもっていこうと努力してみるものの長く続かないのは、人間の刷り込まれた本能にあるからなのです。
本来人間は狩猟時代から「逃げる」ことが生きるための方法だったのです。逃げることで人類は生き延びて進化してきました。ですから人間には逃げるという消極的な本能がそなわっているので、自然とネガティブに考えてしまいます。
またポジティブシンキングは、「休みたい」、「遊びたい」といった快楽への欲求を無理に抑えて前向きになろうとするので、気持ちを切り替える強い意思も必要です。しかも、ポジティブシンキングはうまく身につけないと、失敗してもすぐに切り替えてしまって反省をしなくなったり、頑張りすぎてしまうなんてこともあります。
そこで、オススメなのが「ポジティブ心理学」の考え方です。ポジティブ心理学とは、「学習性無力感」を提唱したことで有名なマーティン・セリグマンが提唱したものです。
今感じている不満や苦痛、ストレスの解消にフォーカスするのではなく、ポジティブやネガティブなど、あらゆる感情を受け止めてよりよい生き方や働き方をするために、自分や周りの環境にある「強み」や「可能性」といった肯定的な要素に着目した思考法です。
この研究は統計データをもとに多くの人に効果があると実証されているため、いまでは自己成長だけでなく、仕事にも使える実践的な心理学と考えられています。
セリグマンは、自分の強みや可能性を把握して伸ばしていくことを目標とし、将来の理想を描いていくこと、「Well Being(よりよく生きる)」ということが「幸せ」であるとしています。自分の持っている強みを使って、「PERMA」という次の5つの心理状態を実現することが「Well Being(よりよく生きる)」につながるのだと説いています。
「PERMA」は、以下の5つの心理状態を表します。
P:Positeive Emotion(ポジティブ感情)
E:Engagementa(何かに没頭する)
R:Relationship(人間関係)
M:Meaning(意味、意義)
A:Accomplishment(達成)
P:Positeive Emotion(ポジティブ感情)
例えば、嬉しい、面白い、感謝する、希望をもつ、興味もつ、興奮する、決心する、感動するなど、日々生活する中で、こうった感情を生み出してくれる状態や、自分自身の習慣、行動などから肯定的な感情を思い出しましょう。
例えば、自分はいろいろなことに興味を持って行動するタイプだから、旅行の計画を立てるときにみんなが知らない観光スポットを見つけて喜んでもらえたなぁ。といったように思い出してみましょう。
E:Engagementa(何かに没頭する)
時間を忘れて没頭するような経験を思い出してみてください。また、自分の得意とすることでいいので夢中になることを見つけましょう。
例えば、自分は結構細かい作業が得意だから、パズルとかハマってやってたな。休日に時間もたくさんあるし、今回もう少し難しいのをやってみようかな。といったように、自分が得意とすることから、没頭してみましょう。
R:Relationship(人間関係)
人間関係の充実は、WellBeingにとってとても大切なことです。信頼できる人や仲間たちなど人間関係を築いている状態を思い出してみてください。自分が誰かとつながっていると信じるとき、目の前のことがちっぽけなものに思えて、乗り越える勇気がわきます。
M:Meaning(意味、意義)
なぜ勉強しているのか、なぜこの仕事をえらんだのか?あらためて意味と目的を意識して追及してみましょう。趣味や仕事、スポーツでも、自分がいま行っていることならなんでも構いません。
最初はただ好きだからやっているという漠然としたものでも結構です。どんなことに喜びを感じるのか、自分はなぜそれをやっているのか、何が重要なのか、その目的の行きつく先はどこか。自分ともっと大きなものとの関係を意識して考えてみてください。
A:Accomplishment(達成)
何かをやり遂げること、小さくても大きくても成し遂げた経験を思いだしてみましょう。一日の出来事の中から「これを今日はやり遂げたな」と思えることを見つけましょう。小さな達成感でも、それを感じている状態はポジティブな感情が溢れます。
ポジティブシンキングとの違いは、ポジティブ心理学はネガティブ思考も受け入れる考えも持っている点です。ネガティブ思考も否定すること無く、その感情を一部認めたうえで、ポジティブな思考とうまくバランスを取りながら生きていくのがWellBeingの生き方だとしています。
なぜなら、ネガティブな思考はポジティブな考えが行き過ぎる際に、ブレーキのような役割を果たしてくれ、失敗しないように事前に策を講じることもできます。
ですから、まずはネガティブ要素がどこからくるものなのかを考えてみましょう。案外「自分が勝手にそう思っていただけ」という結論に達することもあります。
ネガティブな気持ちに対してもうまく自分自身の感情をコントロールできることは、レジリエンス力(何があっても立ち直れる力)につながります。
コロナウィルスだけでなく、今私たちの取り巻く環境は日々変化し、「ストレス社会」とも言われており、私たちが幸せな人生を歩んでいくためにはこのレジリエンス力を身に着けていくことが大切だと言われています。
まずは、自分自身の感情をうまくコントロールしてポジティブな感情を作っていけるようになることが、レジリエンス力を高める一つのトレーニングになるでしょう。
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この記事を担当した人
わん子
やる気ラボに古くからいる微魔女犬。やる気が失せると顔にでるためわかりやすい。my癒しは、滝と戦闘機と空を見上げること。