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仕事・働き方
2020.09.4
立正大学心理学部名誉教授
齋藤 勇
対人心理学者、文学博士1943年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。現在、立正大学名誉教授、日本ビジネス心理学会会長。 対人・社会心理学、特に人間関係の心理学、中でも対人感情の心理、自己呈示の心理などを研究 。TV番組「それいけ!ココロジー」に出演し監修者を務めるなど、心理学ブームの火つけ役となった。『人間関係の心理学』『やる気になる・させる心理学』など、編・著書・監修多数。
―― 人に「やらせる」というのはなかなかハードルが高いですよね。
そうですね。仕事で上司が部下に仕事を任せたいと思っても、部下をやる気にさせるのは結構難しい(笑)。部下を動かすためには、その部下とどれくらい信頼関係があるかというのがとても重要ですが、他人に行動させるためには、その人の個性によって行動のさせ方を考える必要はありますね。
例えば、個性の中でもチャレンジ精神が旺盛で、高い目標に燃えるタイプの人もいれば、失敗を恐れて行動に移せない人もいます。このひとつの個性の違いでも、行動のさせ方は変わってきます。
あなたが輪投げに参加したと思ってください。輪投げをするときに「床の白線上、好きなところから投げていいですよ。自由に10回投げてください。投げるごとに場所を変えても、同じところから投げても結構です。どれだけ上手にできるか、やってみてください」と言われたら、あなたはどうしますか?
これは単なる遊びではなく、達成動機の研究者、アトキンソンが行った輪投げによる達成動機の実験です。
この研究では、どれだけ正確に投げられるか?ではなく、どの距離で投げるのか?を見る実験でした。それは、どのくらい成功したいか、失敗したくないかの実験でした。アトキンソンに言わせると、達成欲求が強い人は、成功失敗が半ばするような、中間距離で投げたのに対して、達成欲求が弱く失敗回避動機の強い人は、絶対に入る近距離を選んだ人が多かったのです。
しかし、不思議なことに、失敗回避動機の強い人の多くが、ほとんど入りそうもない、遠距離も選んでいたのです。一見、挑戦的に見えますが、実は 失敗しても周りの人から非難されない高い目標を選んだのです。高い目標を選ぶ心理の意外な面といえます。
この実験から、やる気のある人は、できるかできないか五分五分の勝負に挑戦的になる。不安が高い人は、やる気のある人とちょうど逆に五分五分でここ一番勝負というときに逃げようとする傾向があるというのがわかります。彼らは失敗し、自分のプライドがキズつくのを恐れるので、「絶対に入る近いところを選ぶ」か「思いっきり近くから投げてしまい、遠くから投げることで、失敗したときの言い訳にしようとする」かのどちらかを選んだということです。
五分五分を選ぶ人はチャレンジ精神がある、やる気のある人といえます。とはいえ、大切な仕事をさせて五分五分で失敗されるのは危険ですからね。五分五分の勝負を与えたとしても、これを達成できない場合こんな問題がおこる、という事を明確にしてあげることで行動できるようになります。
例えば、会社内でいくつかのセクションと合同で行うプロジェクトを任せてみようとしたとき、上司はこまめに進捗を確認してあげたり、各セクションとしっかり連携をとってやっているのか?と先回りして聞いてあげたりしてフォローするといいでしょうね。
そして、達成動機の強い人、やる気のある部下をもつ上司は幸せですが、そのような部下を持った時には、その意欲を損ねないようにしてあげましょう。
この傾向の強い人は個人的な進歩に関心があるので、自分一人で達成しようという傾向があります。また、その成果のフィードバックを欲しがる傾向がありますので、仕事は一人でやっているものではないことも伝えながら、上手にコミュニケーションをとっていきましょう。
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この記事を担当した人
わん子
やる気ラボに古くからいる微魔女犬。やる気が失せると顔にでるためわかりやすい。my癒しは、滝と戦闘機と空を見上げること。