子育て・教育

【相談】怖がりの息子が将来独立できるか心配です。母親が今できることは?【第15回】心理学者に聞く、人間関係のお悩み相談室

2020.03.12

私たちはしばしば、人間関係に悩まされて、やる気をなくします…。そんなゲストのさまざまなお悩みを、“人間関係の心理学者”齊藤勇先生が解消する連載です!

今回のゲストは、中学生の男の子を持つお母さんからのお悩み。恐怖心が強い息子の心理状態はどうなっているの?自立期の息子の将来に不安を感じているお母さんに齊藤先生がポジティブなアドバイス!


 

サイトウ先生
(立正大学心理学部名誉教 授 齊藤 勇 先生) 「人間関係」を専門とする心理学のエキスパート。 日本ビジネス心理学会長。
セブ島などで英会話学校のアドバイスをしたりといろいろ大活躍のスゴい人。とても気さくなおじさまです。

ねずみさん
今回の相談者。 デスクワークで書類の山を片付けるお仕事をしているため、休日は趣味のアウトドアで発散!体を動かすことが好きなアクティブママ。

こぶた
やる気ラボスタッフ。いまもっとも欲しいのはホワイトデーのお返しを買いに行くやる気。

わん子
やる気ラボスタッフ。年齢不詳の女性会社員。
学生ラボスタッフが一人、新社会人として旅立つ…。別部署の課長からは「わんこさんが追い出したんじゃないの?」と。どんだけ悪魔だよ(笑)

きっかけは夫の一言? 怖がりになってしまった息子


今日のご相談は息子さんと旦那さまのお悩みとのことですが…。

今回は、怖がりの息子さんと「これって…モラハラ発言⁉」な旦那様に悩まされるねずみさんです。

そ、それは、大変なお悩みですね。お子さんが怖がりになる心理って、どういうものなのか、子どもを持つ親としても興味深いです

では、今回は怖がりな息子さんの相談について、斎藤先生からアドバイスをいただきましょう。

よろしくお願いします。ねずみさん、息子さんはおいくつですか?

はい、中学2年生の男の子です。

臆病な面があるということですが、それはいつ頃からでしょうか?

息子によると、3年前の出来事がきっかけだそうです。

当時コンビニのレジに並んでいた時、後ろに怖いお兄さんがいたそうなのです。

(…どきどき)

そこで、息子はうっかりお兄さんの足を踏んでしまったんです! 。

ひぃぃぃ!それはまずい!

本来はその場で謝るべきところ、すぐレジの順番が来てしまって…謝罪をする間もなくレジに向かってしまったらしいんですね。

タイミングが悪かったんですねぇ。

そしたら、その場に居合わせた夫が「お前が謝らなかったから、あの人が追いかけてくるかもしれない」と言ったそうなんですよ。

こんなイメージ!?

お父さんがおどしてしまったのですか⁉

間違ったら謝るべき、ということを伝えたかったのだとは思うのですが… それからというもの息子は「後ろから誰かに見張られている気がする」とか、「誰かがついてくる気がする」とか言い出すようになってしまったんです。

それは深刻ですね。

一度ハワイへ家族旅行に行った時にも、息子を待たせていたら戻ってみると姿が見えなくなっていたんです。

えっ!?

必死に探して見つかったのですが、息子は「怖い人が来て僕の何かを盗もうとして怖くなったから親を探しに来た」と言うんですね。

その後も「自分を追いかけて日本に来るんじゃないか」などと心配してしまって。

そういった状態は今も続いているのですか?

いえ。中学ぐらいになって大分よくなってきました。

コンビニ事件でお父さんのお話があって…とのことでしたが、お父さんとのご関係はいかがですか?

夫は厳しい反面、過保護な部分もあるかもしれません。

夫の帰宅が10時ぐらいですと、息子は待っていて2人でお風呂に入ることもあります。

周りのお子さんは親が帰ってこない方が嬉しいみたいですが、うちの場合は「何時に帰ってくるの?」と早く帰ってきて欲しい様子ですね。

良すぎるのも場合によってはどうかなという感じですが、良好ということですね。

成長期には子どもの弱い部分が出やすい


学校での生活はいかがですか?

今サッカー部に入っていて無遅刻無欠席で2年間頑張っています。

先生との面談をしても問題があるとは言われないんですよね…

なるほど。

息子は身長が141㎝と中学2年生にしては低めなので、もしかして大きい人に委縮してしまうのかもしれないとも思うのですが、なぜか友人は大きい子ばっかりで(笑)

友人関係は問題ないということですね。勉強も課外活動もしっかりされているということですから、対外的には非常に安定していると思います。

外で気を張っている分、家で怖がりの部分が出てしまうのかもしれませんね。

そうなんですね。

中学生頃というのは、もともと精神が乱れやすい時期でもあります。

心や体の成長と共に、自分が自分じゃなくなっていくような感じがするんですね。

確かに、精神内科の先生にお話を聞いた時にも、成長期にはそういったこともあるので、時期がくれば治ってくるのではないかと言われました。

成長期には、これまであった自信が急になくなってしまうようなこともあるんです。その自信がなくなった時というのは、自分自身の弱い部分が出やすい。

お医者さんのお話のように、もうしばらくすれば心身ともに安定すると思いますよ。

嫌がることは無理をさせずに見守って


成長してくると恐怖心というのも大分おさまってくるということですか?

そうですね。もともと怖がりの人と怖がりではない人がいます。

なのでタイプが変わるとは言えませんが、青年期になって安定してくれば危険を冒さないタイプの大人になっていくと思いますよ。

私の中では男の子は奔放で強いっていうイメージがあるんですよね(苦笑)

そういったイメージはそろそろ更新しないといけませんね。そんなに男子は強くありません(笑)それに、危険を冒さない性質は決して悪いものではないんですよ。 大昔のことを考えると人間の基本は逃げです!

危険を省みず行動すれば、自分より大きな動物に食べられてしまう可能性もありますから、生きていくためには大切なことなのです。

それだったら良いのですが、このままだと独り暮らしもできないのでは?と将来に不安もあって…

いずれは独立心が出てくると思うので、あまり焦る必要はないと思います。

以前に比べれば「待ち伏せされている」みたいなことは言わなくなったのですが、やっぱり宅配便が来ても鍵を開けないとかは変わらないんですよね。

でも、それはあまり無理しないほうがいいですね。「そろそろ一人でやってみろ」とか、「大きいんだから挑戦しろ」とかいった無理強いは禁物です。

そうなんですね。

先ほどお風呂のお話もありましたが、「まだ父親と風呂に入るなんて」などと言わずに一緒に入っているというところも、息子さんが心配なところをしっかりサポートされていてとても良いと思います。

安定してきたら「そんなことあったっけ?」みたいになりますよ。

大切なのは本人の自信をつけること


そうなると、今はあまりプレッシャーをかけずにということですが、高校や大学になったぐらいでは突き放した方が良いのでしょうか?

普通は自ら離れていきます。そしたら「どうぞどうぞ」という感じで、あえて突き放す必要もないと思いますよ。

どうしても一人っ子なんで甘やかしてしまうところもあるんですよね。

確かに一人っ子となると、なかなか出てけって言わないですしね。

親御さんも歳を取ってくると、子どもがいてくれた方が安心な面もありますし、老夫婦2人で過ごすよりも何かといいってことになってしまう(笑)

そうなんですよね。そうなると大学になったら独り暮らしさせて…とも思います。

そこまで無理させなくてもいいと思いますがね。

私が一緒だと、つい手を出しちゃうんですよ!ダメってわかっているのですが…結局なかなか身の回りのことができるようにならなくて。

手を出さないって本当むずかしいですよね!

そうそう。やっちゃった方が早いですもん。そこが治らなくて…

働き者のお母さんですね!でも、そこをぐっとこらえるのが今回の鍵です。親の過保護な姿勢は、かえって子どもの恐怖感を強くします。

今息子さんは、身の回りのことをやったら必ず失敗しますよね。でも、徐々にそれが出来るようになっていけば自信がつきます。

そして自信がついてくるとどうなるかというと、不思議に心配なことって少なくなっていくものなのです。大きくなったら独立させなきゃと思っているなら、今です(笑)

今か―(笑)

無理やり独立させてもお金ばっかりかかるだけですよ。それなら今から少しずつやらせて、出来ることを増やして自信につなげてみてください。

わかりました!今日はありがとうございました。

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「これってモラハラ発言では!?」旦那様の日常の発言に悩まされるねずみさんに齊藤先生はどのような分析とアドバイスをするのでしょうか?お楽しみに!

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この記事を担当した人

わん子

やる気ラボに古くからいる微魔女犬。やる気が失せると顔にでるためわかりやすい。my癒しは、滝と戦闘機と空を見上げること。

 
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