新納一哉さん、ゲーム開発にかける想い「やりたい気持ちに、ウソをつきたくない」
2020.07.29
生活・趣味
2019.12.9
家庭、学校、職場。私たちの暮らしはつねに人間関係の中にあります。そこで時として抱え込むモヤモヤとしたストレス。それは私たちのモチベーションを大きくゆさぶります――
さまざまなゲストが持ち込む人間関係のアレコレ。周りに知られるのはちょっと恥ずかしい悩みについて、動物に扮して”人間関係の心理学者”齊藤勇先生と語り合う連載です。
今回のゲストは、お付き合いしている彼女がネガティブ思考。完璧を求める彼女にどういう対応が適切なの?と悩む男性スタッフが登場します。
サイトウ先生
(立正大学心理学部名誉教 授 齊藤 勇 先生) 「人間関係」を専門とする心理学のエキスパート。 日本ビジネス心理学会長。
セブ島などで英会話学校のアドバイスをしたりといろいろ大活躍のスゴい人。とても気さくなおじさまです。
シバイヌさん
今回の相談者。若いわりには趣味が老年。知ってか知らずか、本人の希望で今回は柴犬キャラになったが、独立心があり、我慢強い反面、頑固なところもある柴犬の性格そのものな彼。
こぶた
やる気ラボスタッフ。やる気ラボスタッフで「忘年会しよう!」とわんこからの誘いに「年末忙しいし、やらなくてもいいんじゃないっすか?」と、めんどくさいオーラが爆発中。
わん子
やる気ラボスタッフ。忘年会シーズンに突入し、酒好き人好き肉好きの血が騒ぐ。おいしい肉の食べられるお店を探索中。
今日のお悩み相談のゲストは、若手スタッフのシバイヌさんです。こんにちは。
こんにちは。今日はよろしくお願いいたします。
今回のお悩みは、お付き合いしている彼女との関係について、ということですが?
はい。一緒に住んでいる彼女が時折ネガティブになってしまうことがあって、それが原因で喧嘩をしてしまうんです。
なんだか、微笑ましいお悩みだなぁ…。(遠い目)
わん子さん、シバイヌ君にとっては今はとても深い悩みなんですから。
そ、そうね。ごめんね。でも、夕食作っておいたのに「飲んで帰る」ってメールが来てケンカしたり、全ての洗濯物を裏側にして脱いで怒るとかっていう生活染みたケンカじゃなくていいなぁと…。
わん子さん。今日の主役、シバイヌ君。わんこハウス。ハウス。
まぁまぁ、内輪でもめないで(笑)
ですよね-!(汗)
でも、ネガティブな時ってどんな声掛けしたらいいか、僕も悩みます…。
シバイヌさん、ネガティブというのは具体的にどのような状態なのでしょうか?
あ、はい…。彼女は中国人なのですが、外で買い物とかをして日本語がうまくしゃべれなかったりすると「もう日本でやっていけない」みたいなことを言うんですね。
なるほど。
僕から見ると十分日常会話として成立しているので「全然大丈夫だよ」と声をかけるんです。でもまた少しすると同じようなケースで落ち込んでしまうので、こちらとしては「またか…」と思って段々イライラしてしまうのです。
共感を求めているんですね。でも、感情のやりとりは難しいですね。今後は日本に住むことを考えていらっしゃるのですか?
そうですね。現在、ビジネス日本語を習っていて、既に日本国内の企業から内定も頂いているので来年からこちらで仕事に就く予定です。
すごいですね!その行動力からはネガティブな方のように感じないですが。
これもう僕よりも日本語詳しいんじゃないです?
私もお会いしたことがあるのですが、お名前を聞くまで中国の方だとはわからなかったんですよ。短期間で日本語を習得されてモチベーションの高い方という印象ですね。意識が高いというか…
意識が高すぎるのも考え物です。完璧主義なのでしょうか、逆にできない時の落ち込みがひどいなと思ってしまうんですよね。
100点満点のテストだったら95点でも喜べないタイプですか?
そうです!100点でないと自分はダメな人間だと思ってしまうようで、残りの5点にすごくこだわるんです。
野球で言えばイチローみたいな感じですね。なんで3割しか打てないんだと。もちろん向上心に繋がるのですが、出来ている部分が見えなくなってしまっているとしたら、一緒に居る人としては喜べないことですよね。
こちらからしたら十分だと思うのですが…
でもそういう方だと「95点なのだからすごいよ!」と褒めても納得しないのではないですか?
その通りです。その場は収まっても、また似た話が出てくるんですよ。次第に「この前も大丈夫って言ったのに!」と負のスパイラルに陥ってしまうんですよね。
生活していると「またこれか…」みたいな喧嘩って多いですよね。
そうですね。それはこの前言ったことが彼女にとっては解決策になっていないということですね。自分としては正解だったけれども、彼女にとっては正解ではない。そこを考えないと問題が出てくるたびにエスカレートしてしまいます。
難しいですね。こういう時に相手の耳に入るというか、腹落ちするように伝わる言葉がけってあるものでしょうか?
まずは本人に共感することが重要です。あんまり共感しすぎてしまうと両方ともネガティブになってしまうので、そこは注意が必要なのですけれども。
共感ですか。共感より前に解決策を急いでしまうかもしれません。
心理学では”ラポール”と言って、フランス語で「架け橋」を意味するのですが、心理療法の世界では信頼関係を構築する方法として存在します。
解決策をつい言いたくなりますが、 お互いの信頼関係を築くにあたって何より大事にされるのが相手と同じ感情の中にいることなのです。
同じ感情ですか。
そうです。彼女は100点取らないといけないという価値観の中にいるので、95点で褒められても本当だと思えないのですよね。なので、まずは「残念だったね。自分もそういうことがあったよ。」と共感する。
そして、何が足りなかったのかということについて一緒に考えてみるのです。
そこまでしたことはなかったかも…
そうすると逆に何が出来ているのかということも見えてきます。実際95点も取れているわけですから褒めるポイントもたくさん見つかってきますよね。
かなりありますね。うらやましい。
そこで、焦点を当てなおしてみてください。今出来ていない5点に当たっている光を、出来ている95点に当てなおしてみるのです。
そうすると出来ている部分が見えてきます。その人が出来ることは必ずありますから。
なるほど。出来ていない部分を「大丈夫」と言うのではなく、出来ている部分を見える化して褒めるというのは新しい考え方ですね。
もう一つ別のアプローチとして心理学にある“原因帰属”についてお話してみましょう。
物事の結果が出た時、人は「どうしてこうなったんだろう」と考えます。
例えば、「運がよかったからだ」と思う人もいるし、「努力したからだ」という人もいますね。中には「自分の能力が高いからだ」と思う人もいるでしょう。
彼女は失敗した時、なんでも自分のせいにしてしまうかもしれません。
物事の結果を何に求めているのかということが“原因帰属”なのですが、 この“原因帰属”は、できた時よりもできなかった時に起こります。そして、「自分は能力が無いんだ」とか「努力が足りないんだ」と、自己評価が低くなってしまい、ネガティブな行動になってしまいます。
確かに。
その後の行動をポジティブに転換するためにも、その人の考え方の癖みたいなものをつかんでおくことは大切です。心理学的に重要なことは、「人の感情は結果が決めるのではなく、それをどう解釈するのかが決めている」ということに気づくことです。
そうなんですね!
ですので、話をする時にどこに原因を置いているんだろうなということを考えてみてください。自分の能力を否定しているのか、努力をしなかったからダメだったと思っているのかがわかってきます。それによってかける言葉も違ってきますよね。
原因が自分に向きすぎている場合は、今回が「運が悪かったんだよ」なんて別の帰属原因に転換してみるとか。
その“原因帰属”はどうやったら引き出せるのですか?
「どうしてこうなったんだろうね?」という問いかけをすれば自然と話は相手から出てくるはずです。
共感しながら引き出していくということですね。
そうです! 「前言った。」では本当のところがわからなくなってしまいます。本音が見えてくるように、ここはグッと我慢して、結果の捉え方、彼女特有の解釈の仕方を聞いてみてください。
それから言葉の壁を気にされているとのことでしたが、実際本人が気にしているほど、周囲の人は気にしていなんてこともあります。
一度気にすると、気になってしまうのでしょうか…。
アメリカの大学で行われた心理学の実験で面白いものがあるんです。ある学生に派手なTシャツを着て大教室に行かせます。本人は普段そんな洋服を着ないので、とてもドキドキです。でも実験の後、周囲の人に聞くとあまり記憶にないんですよ。他人ってそんなもんですよね。
そうなんですか! ?
「人はそんなに気にしていないものだよ」ということを機会を見て伝えていくのも良いかもしれませんね。
なるほど。
会話をして中国人だとバレてしまったということを気にされているようであれば、星取表でも作って「今日はバレた」とか「バレなかった」とか一緒に楽しんじゃうのはどうでしょう。
そうやって客観視して楽しんでいるうちに、いつの間にかポジティブな話に転換できていればいいですね。
それは目からウロコでした!原因帰属と星取表ですね。早速やってみようと思います。本日はありがとうございました。
ネガティブ思考な人とのコミュニケーション法
① その人の考え方のクセをみつけよう
② 完璧主義的ネガティブの人には、できなかったことに共感してあげよう。
③ できていることを「見える化」してあげよう。
【第10回】「人間関係の心理学」は、自己中心的な同僚に困っている!上司への相談に“みんな”を巻き込むのはよくないこと?と、悩んでいる相談者が登場します。お楽しみに。
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この記事を担当した人
わん子
やる気ラボに古くからいる微魔女犬。やる気が失せると顔にでるためわかりやすい。my癒しは、滝と戦闘機と空を見上げること。