新納一哉さん、ゲーム開発にかける想い「やりたい気持ちに、ウソをつきたくない」
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仕事・働き方
2020.10.28
1986年5月2日生まれ。千葉県千葉市出身。料理研究家、株式会社バズレシピ代表取締役。2017年より自身が編み出したレシピをSNSに投稿すると、「バズレシピ」として人気が爆発。現在、YouTubeチャンネル・料理研究家リュウジのバズレシピは登録者125万人、Twitterのフォロワーは162万人で、SNSの総フォロワーは約370万人をほこる。「世界一受けたい授業」や「ヒルナンデス」など人気テレビ番組にも多数出演。2020年9月には第7回レシピ本大賞を受賞。著書累計は75万部を突破した。
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やる気ラボの勝部です。リュウジさん、本日はよろしくお願いします!
はい、よろしくお願いします。
「やる気ラボ」は「やる気の出る毎日をつくる」がテーマのウェブマガジンです。リュウジさんは、「やる気」についてどのようなイメージがありますか?
僕ね、無理をして「頑張る」とか無理やり「やる気」を出そうとするのって嫌いなんですよ。
実は僕、今までの人生で好きなことしかしてこなかったから、努力をした経験ってないんですよね。ほかの人には「頑張ったね」「努力しているね」と言われることもあるんですけど、自分としては好きだからやっているだけで、頑張ったことなんて一度もないんです。
今のお仕事が大好きで、「自然とやる気になっちゃう」と。
それでは、リュウジさんがそこまで「料理」を好きになったきっかけを教えてください。
学生の時に、母が病気がちだったので自分が料理を作って家族に食べさせたことがありました。その時に得られた達成感が、料理を好きになっていくきっかけですね。
どうして自分で作ろうと?
当時は、買い食いをすることに抵抗があったんですよ。コンビニとかスーパーで顔を覚えられてしまったら「若いのに毎日弁当か」とか、「かわいそうな子だな」とか、思われてしまうと思ったんです。それが嫌だったので、自分で作った方が楽だったんでしょうね。なにより、自分の料理で、みんなに喜んでもらえたのが嬉しかったんです。
そこから料理に没頭したのも、「みんなを喜ばせたい」という思いが強かったからですか?
そうですね。やっぱり「おいしい」って食べてもらえた時の満足感。
あとは、これをこうやったらどういう味になるんだろうという知的好奇心ですね。技術が増えていくのを実感できるのが楽しかったです。
それではリュウジさんは、料理を好きになってすぐに料理研究家になろうと思ったのですか?
いいえ。料理は変わらず好きで研究は趣味で続けていたんですけど、社会に出てからは他の仕事をしていました。
そもそも僕ね、高校に入って1年間でやめているんですよ。だから最終学歴は「高校中退」なんですよね。
え、それはどうして?
いじめられていたわけではないんですけど、オンラインゲーム「ラグナロクオンライン」の方が面白くなっちゃったんです(笑)そこから2年間くらい引きこもっていました。
最初にも言いましたけど、僕は常に自分がおもしろいと思ったことをしようとする性格なんですよ。
ゲームに魅せられ高校中退、引きこもり…。今のリュウジさんからは想像もつきません。その後どうなったのでしょうか?
引きこもった後に世界一周して、そこで友達ができたことをきっかけに社会復帰できました。それからアルバイトを転々として、行きついた先がホテルだったんです。社員として雇ってもらって、そこで4年間くらい働きました。
それも、リュウジさんがやりたいことだったのですか?
そういうわけではなかったですね。生きていくためにはお金も必要ですし、ホテルマンになったのは完全ななりゆきでした。
でも、ホテルマンも、やってみたらすごく楽しかったんですよ。毎日毎日違うことをしていたから、充実していたんです。
刺激のある日々だったのですね。
また、ホテルで礼儀や社会がどういうものかということを教わりました。
相当やられましたよ~。僕が小僧だったので、仕事もできなければ態度もなっていなかったんでしょう。先輩に蹴っ飛ばされたりもしましたね(笑)
でも今振り返ってみると、ホテルマンとして働けたのはかけがえのない経験でした。
ホテルマン時代に社会知識を身につけ、そこから料理研究家に転身されるわけですね?
いいえ、まだまだですよ。今度は町場のレストランで働きました。
え、どうしてレストランに?
異動になったんですよ。お寿司屋さんが母体のホテルだったので、異動になって本店のお寿司屋さんに行くことになったんです。
でも僕の中では、お寿司屋さんは毎日同じことばかりをしなければならないイメージがあって、どうしても行きたくありませんでした。だから、そこはあきらめて、町場のレストランに就職することにしたんです。
元々大好きだった料理を仕事にして、ますます楽しかったのではないでしょうか?
それが、そうではなかったんですよ。お寿司屋さんよりも、レストランの方が毎日同じことの繰り返しだったんです。
レストランは、グランドメニューが決まっていて、黒板メニューが月に1回程度変わるだけ。メニューを覚えてしまった後は、ぜんぜんおもしろくなくなってしまったんです。
なるほど…。
そこで僕が気づいたのは、自分はいつも違うことに挑戦するのが好きなんだということ。自分がお店を開いたとしても、毎日毎日同じものを仕込まなきゃいけない。「俺は料理人なんてできない」と痛感しました。
そういう仕事を馬鹿にしているわけでは決してないのですが、自分にはまったく合わなかったんですね。店長にはめちゃくちゃ止められましたけど、「もう無理です」ってやめました。
やめた後はどうされたのですか?
レストランをやめてからは、介護事務の仕事をしていました。
デスクワークで時間もあったので、休憩時間にインターネットでレシピを調べて「今日はこのご飯を作ってみよう」と決めたり、自分でアレンジを加えたりして研究していました。それが7年前の話なんですが、そのころから自分のレシピを作り、メモを書き留めるようになりました。
リュウジさんの料理研究家としての活動が、いよいよスタートしたわけですね。
どうでしょう。その時から「料理研究家」と名乗ってブログをあげてこそいましたけど、誰にも見られることはなかったですし…。もちろん、お金になっているわけでもありませんので。
でも、それはそれでいいのかなと思って、のほほんとサラリーマン生活を送っていました。
リュウジさんが料理研究家として一躍脚光を浴びたのは、Twitterがきっかけでした。SNSを利用したのは、料理研究家として有名になりたいと思ったからですか?
そんなことまったく思っていませんでしたよ(笑)友達がTwitterをやっていたので、僕も始めたというだけのことですね。
でも、僕は載せられるものが料理しかなかったんですよ。「今日はこんな料理を作ってみたよ」って。そしたら、それを見た料理好きの人たちが集まってきてくれたんです。昔、僕の周りには料理をする人がいなかったんですけど、SNSを使えば料理好きな人と交流できるんだということがわかって、投稿を続けていました。僕にとって、料理はコミュニケーションツールだったんですよね。
やっぱり好きなこと、趣味から始まったのですね。
そしたら、みんなが拡散してくれるようになって、あれよあれよと僕のレシピが広がっていきました。運が良かったというのもあるんでしょうけど(笑)
いわゆる「バズる」という現象。バズレシピの誕生です!
2020年10月現在、YouTubeチャンネルは登録者125万人で、Twitterのフォロワーは162万人。SNSの総フォロワーは約370万人に達しました。
リュウジさんの活動を通して、ファンにはどうなってほしいですか?
みんなに料理をしてもらいたいというのが第一ですね。
極端に言えば、僕は自分の料理なんてどうでもいいんですよ。
自分の料理はどうでもいい?
だって、自分が世界一おいしいと思うものを作れるのは自分だけなんですよ。なぜなら、自分の体調や味覚、好みをいちばんよく知っているのは自分自身ですからね。
だから、僕の料理レシピは余計な具材は入れず、あえてアレンジしやすいように作っているんです。俺がいちばんおいしいと思う料理を、全員がおいしいと思えるかってそんなわけはないんだから、みんなが料理をして自分の味を見つけてくれれば嬉しいです。
驚きです。てっきり「俺の料理がすごいから食べてみろ」っていうのが料理研究家なのかと…。
そういう人も多いと思いますけど、僕は違います。
だから、僕が「料理人」ではなく「料理研究家」である理由は、そこにもあるんです。よく混同されるけど、本質はまったく違う。料理人は料理を提供する人、料理研究家は料理を提案する人なんですよ。
なるほど、目からうろこです…。
リュウジさんの活動を通して、料理に対する考えが変わったという人もたくさんいるのではないでしょうか?
「料理が好きになりました」「彼氏の胃袋をつかんで結婚しました」という言葉はいただきましたね。そういうのを聞くと心から嬉しいです。
さっきもお話ししましたけど、僕はこんなにも熱いパッションがあるのにもかかわらず、もともと周りの友達と話せなかった。だから、料理の話をできる人間を増やそうと思って、SNSに投稿したんです。そのコンセプトは、今もこれからも変わることはありません。
お話を聞いていると、リュウジさんはとてもやる気に満ち溢れて、さまざまな活動をされていると感じます。最初の「頑張ることは嫌い」という言葉とは正反対というか…。
これが、「やる気」っていうんですか?(驚)僕は、これはただの欲望だと思っていますよ。
「頑張る」とか「やる気を出す」っていう言葉は、「やらせられている」ことに対する言い訳のように聞こえて僕は好きじゃない。本当に楽しいことをするのに、そういったものはいらないんじゃないかなって思います。
そういう考え方もできますね。
しかし、誰もがリュウジさんのように「好きなことだけを選んで生きる」度胸があるわけではないと思います。「本当はやりたいことがあるけどできない」「どうしても頑張れない」という人にアドバイスはありますか?
僕はちょっと考えがゆがんでるから、できないんなら頑張んなくていいんじゃないのって思っちゃう。好きなことのための準備ができないっていうなら、きっとそれは本当に好きなことじゃないと思うんですよね。それなら、やろうとしなくていい。だって、今のままでも幸せでしょ?
確かに…。
僕にも、声優とか歌手とか、声を使う仕事をしたいという夢があった。でも、そのために努力をしなかったから当然なることはできませんでした。それなのに、今が楽しくて、ぜんぜん後悔はないんです。
そうだったのですね。
今の仕事だって完全ななりゆきであって、僕がものすごい努力をした結果ではない。ただやりたいことをやっていたら、たまたまたそれが認められただけなんです。
僕はサラリーマンの時に、家に帰って料理を研究するだけで楽しかった。今だって、仕事の合間にゲームをするだけで楽しい。
そんな人生でもいいんじゃないでしょうか?
今ある楽しさに焦点を当て、楽しいと感じることに全力で生きたほうがいいということですね。
リュウジさん、本日はためになるお話をありがとうございました!
リュウジさんの記事公開を記念して、Twitterにて抽選で1名様にサイン色紙をプレゼントいたします。
応募は締め切りました。ありがとうございました。
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この記事を書いた人
勝部晃多(かつべ・こうた)
やる気ラボの娯楽記事担当。23歳。ハウストラブルコラムやIT関連のニュースライターを経、2019年8月より現職。趣味はプロ野球・競馬観戦や温泉旅行、読書等と幅広いが、爺臭いといわれるのを気にしているらしい。性格は柴犬のように頑固で、好きな物事に対する嗅覚と執念は異常とも評されている。
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