新納一哉さん、ゲーム開発にかける想い「やりたい気持ちに、ウソをつきたくない」
2020.07.29
子育て・教育
2019.03.5
【幼児】【小学生】【中学生】【高校生】【保護者】
・自分で選んだり決めたりすること=「自己決定」がやる気を高める。
・現実的に、子どもは何もかもを自分の思い通りに決められるわけではない。しかし与えられた宿題などの“枠”の中で、「いつやるか」「どうやるか」“自分で決める”という感覚を持たせるのが大切!
【連載】保護者にオススメ! 子どもの「やる気」の引き出し方
第1回 どんな「やる気」を育てたい?
第2回 自分で決めると「やる気」が出る?
第3回 「やる気」の活かし方を知っている?
第4回 「やる気」はうつる?
第5回 「わからない」がわかると「やる気」になる?
第6回 誰のために「やる気」になる?
友だちとのランチの約束に少し遅れたとき、「あなたの分も先に頼んでおいたわよ。パスタ好きだったよね」と言われたら、どう思いますか? おそらく、遅れたのは悪かったと思いつつも、「自分で選びたかったな・・・」と思う方が多いのではないでしょうか。
自分で選んだり、決めたりすることを自己決定と言います。ランチメニューから進路まで、日常は選択と決定の連続ですが、多かれ少なかれ人は自分のことは自分で決めたいと思っています。
自己決定できるかどうかは、やる気にも深く関わっています。趣味で始めた韓国語は楽しいのに、英語の授業は楽しく感じられなかったりします。あるいは、生き物や花の図鑑を夢中で読んでいる子が、理科の授業に一生懸命になるかというと、必ずしもそうではありません。
この2つの例に共通しているのは自己決定です。趣味の韓国語や生き物図鑑は自分で選んでいますが、授業や宿題は必ずしもそうではありません。もちろん、本人の得意不得意や興味、あるいは年齢などの違いもあるので一概には言えませんが、自分で選んだり、決めたりできるときにやる気が出るということは、日常のさまざまな場面で見られます。
自己決定に関して、1つおもしろい実験があります。その実験では、参加した人にいくつかの課題に取り組んでもらったのですが、半分の人には課題を解く順番や時間配分を指定し、残りの半分の人には順番や時間配分を自分で決めてもらいました。すると、後者の「自分で決める」ことができた人たちの方が、よりやる気を出して課題に取り組みました。この実験からも、自己決定がやる気を高めるということがわかります。
「じゃあ、子どもに全部任せてみようかしら」と思われた方もいるかもしれませんね。ただ、おそらくそれはうまくいきません。すべてを子どもに任せて決めさせたら、多くの子は勉強をするよりも、ゲームをしたり、遊びに行ったりしてしまうでしょう。
自己決定を大事にすると言っても、ある程度の枠は必要です。それに、勉強に関して言えば、イチから自分で決められることはほとんどないのが現実です。宿題はしなければいけませんし、受験教科もだいたいは決まっています。
大切なのは、定められた枠のなかで、子どもが少しでも自分で決めたり、選んだりできる機会を保障することです。たとえば、宿題をするかどうかを子どもが決めることはできません。しかし、いつ宿題をするか、どんな順番でするかは子ども自身が決めてもよいかもしれません。
あるいは、子どもが数学の問題集を買ってほしいと言ってきたときに、「苦手な英語をやった方がいいんじゃないの」と思うかもしれません。ですが、ひとまず子どもが自分で決めたということを認めてあげたいところです。
そのうえで、「この時間で全部できそうかな?」と問いかけてみたり、「数学と英語と同時に進めてみたら」と提案してみるのはよいでしょう。子どもが自分で見通しや計画を立てる力につながります。
ですから、子どもが「自分で決めた」という感覚をもって勉強に取り組めるようにサポートするのを大事にしたいものです。そのためには、子どもが選んだこと、決めたことをまず認めることが効果的なポイントとなります。
ただ、その一方で、自分で決めるのが苦手な子もいます。そんなときには、選択肢やそのメリット・デメリットを示してあげたり、一緒に考えてあげることも必要でしょう。
さて、保護者のみなさんは勉強に関して、「お子さん自身が選んだり、決めたりしていること」をいくつ思いつきますか? 「自分で決めたんだからがんばる」という気持ちをもてるようなかかわり方ができるとよいですね。
【連載】保護者にオススメ! 子どもの「やる気」の引き出し方
第1回 どんな「やる気」を育てたい?
第2回 自分で決めると「やる気」が出る?
第3回 「やる気」の活かし方を知っている?
第4回 「やる気」はうつる?
第5回 「わからない」がわかると「やる気」になる?
第6回 誰のために「やる気」になる?
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この記事を書いた人
岡田 涼
香川大学教育学部 准教授。2008年、名古屋大学大学院教育発達科学研究科修了。11年、香川大学教育学部講師就任。13年、香川大学教育学部准教授、香川大学大学院教育学研究科准教授就任。現職。友人関係場面における自律的動機づけの役割や、学習場面における自律的動機づけなどを主な研究テーマとしている。