子育て・教育

【連載】習い事やお稽古事は早くからやらせた方がいい?|2020年、子どもたちの「アクティブ」な学びを考える(3)

2019.03.1

【連載】【幼児~小学生】【保護者】
・「うちの子、大丈夫かな」。不安・焦りを抱える保護者は少なくない。
・タイミングはあくまで「お子さん次第」。重要なのは待つ姿勢。
・不得意を否定するよりも、得意を伸ばしてあげよう。

【連載】2020年、子どもたちのアクティブな学びを考える
1. 未来を担う子どもたちに、これから「求められる力」とは
2. 思考力や探究心を育むには
3. 習い事やお稽古事は早くからやらせた方がいい?
4. 「勉強しなさい」は効果的?
5. 経験や体験を親子で共有し、子どもの興味・関心を広げよう。
6. 情けは人のためならず~「みんなの学校」のために~




<第3回>習い事やお稽古事は早くからやらせた方がいい?

 2020年の教育改革では、アクティブ・ラーニング、コミュニケーション能力の向上、英語4技能、プログラミング教育などが相次いで導入されます。
 新しい学校の授業や入試が開始されるに当たって、家庭ではどうすればよいのでしょうか。なかには「うちの子、大丈夫かな」と、不安になっている保護者の方も多いのではないでしょうか。

 そのために、幼少期から習い事やお稽古事を検討している家庭も少なくないようです。昨今では、水泳の授業に備えるためのスイミング・スクール、英語教育の本格実施を見越した英会話教室など、学校教育に対応した習い事が特に人気のようです。実際のところ、多くの教室で、新しいカリキュラムへの対応を宣伝文句にして生徒募集を行っています。そのため、「子どもにはとにかく早く習い事をさせないといけないんじゃないか」という不安の声を、保護者の方から耳にすることもあります。
 果たして、いつからどの程度のお稽古事が望ましいのでしょうか。

 答えは「お子さん次第」です。むしろ大切になるのは、お子さんの興味・関心が出てくる瞬間をひたすら「ただ待つ」という姿勢を持つことです。
 言うまでもありませんが、お稽古事や習い事に参加するのはお子さん本人です。
 親の希望や意志だけで、子どもをお稽古事に通わせても、十分な成果は得られないでしょう。子どもは目的もわからぬまま通っているからです。始めるときには、子どもの希望や願いを第一に、その意味や目的を共有しておくことが大切です。「好きこそ物の上手なれ」の通り、子どもは好きなものに熱中すると、上達はとても早いものです。

 通い始めても、お子さん本人が楽しそうに過ごしているかを見てあげること、伸び悩みがあれば、一緒に考えてあげましょう。お子さん本人が「行きたくない」と言っているのに無理強いをすれば、それは親のエゴと子どもの負担でしかありません。お稽古事や習い事に通う意味を親子で常に確認しながら、楽しむことが何よりも大切だと思います。
 幼少期の教育や習い事があったからこそ、プロスポーツや音楽界で成功を収めている人もいます。しかし、指導者とうまくいかなったり、親の無理強いのせいで、習い事が嫌いになったり、自信を失って、離れてしまう子どももいます。
 親心としては「できない」よりも「できる」ほうが好ましいのかもしれません。しかし、多くの人は不得意があるのが普通でしょう。それを欠点として頭ごなしに否定せずに、その子自身の個性として認めてあげてください。そのうえで、その子本人の得意なことや好きなことを、もっともっと伸ばしていくために家庭でサポートをしてあげたいものです。

【連載】2020年、子どもたちのアクティブな学びを考える
1. 未来を担う子どもたちに、これから「求められる力」とは
2. 思考力や探究心を育むには
3. 習い事やお稽古事は早くからやらせた方がいい?
4. 「勉強しなさい」は効果的?
5. 経験や体験を親子で共有し、子どもの興味・関心を広げよう。
6. 情けは人のためならず~「みんなの学校」のために~



●筆者プロフィール

小針 誠
青山学院大学 准教授

こばり・まこと●1997年、慶應義塾大学文学部卒業。2005年東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。教育学博士。同志社女子大学准教授を経て、17年、青山学院大学教育人間科学部准教授に就任。現職。
教育社会学や教育社会史を専門とする。著書『アクティブラーニング 学校教育の理想と現実』(講談社現代新書)。

 
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