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お遍路とは正式名称を「四国八十八箇所」といい、四国にある空海ゆかりの88の寺院を巡る300有余里(1,100km~1,400km)の札所巡拝のことです。古来より人間には88の煩悩があるといわれており、この88の寺院を巡ることによって煩悩が消え、願いがかなうと信じられてきました。
本来は修験者の仏道修行の一つでしたが、江戸時代頃から一般庶民も巡礼するようになり、現在の巡礼者数は年間10万~30万人、うち歩き遍路が2,500~ 5,000人にのぼるといわれています。
現代においては、信仰に基づく巡礼はもちろん、自分探しや癒しを目的に参加する人も増えているというこのお遍路。しかし、急峻な山や深き谷を巡る1,400kmの道のりは、並大抵の体力や忍耐力では踏破することはできず、約70%の参加者がギブアップするとされています。
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なぜつらい思いをするとわかっていながら、お遍路に参加しようとするのか。その理由に迫ります。
33歳の時にお遍路を達成したという男性のAさん。26歳の時にお遍路を達成したという女性のBさん。ともに一人で、徒歩による巡礼でした。
彼らのお遍路は、「人生に嫌気がさした」「毎日がつまらなかった」という理由から始まります。 人生を変えたいという強い思い が、二人のお遍路への参加理由でした。
とにかく長い距離を歩かなければならないお遍路は、常に己との戦いです。足が痛くなることはもちろん、気分が悪くなってしまうこと、嘔吐・下痢といった体調不良に襲われることもしばしばだったそうです。
そんな中で、彼らがお遍路を達成できた最大の要因は、人々の優しさがあったからといいます。
偶然出会った人に体調を気遣ってもらったり、食事をもらったりしたこと。地元の人々の励ましの声。いろいろな人との出会いが、背中を押してくれたそうです。
Aさんはお遍路を達成して、「それまで感じていた人の冷たさとは真逆の体験で、まだ人も捨てたものではないと思えた」そうです。「この経験のおかげで、人を信じられるようになりました」
Bさんはこの体験で、「いろいろな人がいていろいろな人生があるんだなと思いましたし、自分は恵まれていたんだなと気づくことができました。自信と意欲を取り戻すことができました」といいます。
44歳のとき、お母さんとともに巡礼したという女性のCさん。二人がお遍路を回ろうと思ったきっかけは「最愛の人との別れ」でした。
Cさんは、お父さんが亡くなった後、心の整理ができない状態にあったそうです。そこで、お母さんと四国八十八箇所を巡礼することで原点に返り、気持ちを新たにしようと考えました。
Cさんは、足腰が弱いお母さんのために車を使いました。お遍路に交通手段の細かい規定はないため、徒歩でなくても、タクシーやバス、自転車・自動車などで回ることが可能なのです。
多くの人たちがお遍路を回っており、人の優しさに触れられたというCさん。「達成した時の気持ちの良さは、とても言葉には表すことが難しいほど嬉しい」といいます。
いろいろな回り方ができる点、宗教や宗派を問わずに参加できる点も、お遍路に多くの人たちが集まる理由といえるでしょう。
35歳のときに20回ほどに分けて回ったという男性のDさん。車でのお遍路でしたが、何度も道に迷ったといいます。
しかし、つらさを乗り越えて達成したときの気分は格別だったとのこと。「大げさでもなんでもなく、人間として一回り大きくなることができた」といいます。
「人生を変えたかったから」「気持ちを整理するために」「四国観光にちょうどよい」など、お遍路の理由は人によってさまざまです。
しかし、彼らの言葉は「お遍路を通して成長できる」という点で共通していました。人の温かさに触れ、自分の弱さを知ることができるお遍路は、人生の修行の場といえるのではないでしょうか。
「機会があればまたお参りしたい」。心身ともにつらい旅であるはずのお遍路。達成者のこの言葉から、つらさを超えた魅力がひしと感じられました。
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この記事を書いた人
勝部晃多(かつべ・こうた)
やる気ラボの娯楽記事担当。23歳。ハウストラブルコラムやIT関連のニュースライターを経、2019年8月より現職。趣味はプロ野球・競馬観戦や温泉旅行、読書等と幅広いが、爺臭いといわれるのを気にしているらしい。性格は柴犬のように頑固で、好きな物事に対する嗅覚と執念は異常とも評されている。
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