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仕事・働き方
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かばんばか
京都の上賀茂に工房を構えるカバン屋。オリジナルデザインのカバンを販売するほか、オーダーメイド、完全フルオーダーの受注販売も行なう。すべての商品は職人である川本さんが一から手作りする。
住所:京都市北区上賀茂西後藤町32−4
営業時間:9:00 〜 17:00 ※不定休。御来店の際は事前にご連絡ください。
アクセス:
京都駅から地下鉄にて北大路駅へ。
烏丸北大路もしくは、北大路バスターミナルからバスにて「ゴルフ場前」へ。
「ゴルフ場前」より徒歩10分。
公式オンラインショップ:かばんばか
川本有哉(かわもと・ゆうや)
1991年生まれ。大阪府出身。京都産業大学法学部卒。大学卒業後、繊維系貿易商社に就職。2年間会社員生活を送ったのち、カバン職人の道に進む。京都の老舗鞄メーカーで4年修行し、2020年2月に独立。同府の上賀茂に店舗兼工房を構える。
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――「かばんばか」というブランド名、印象的なお名前ですね。川本さんのカバンづくりに対する熱が伝わってくるようです!
「かばんばか」という名前にしたのは、単純に覚えやすいからというのもあるんですけど、もうひとつ想いがあって。たとえバカにされても、自分が作りたいと思ったものを、芯を持って作るという意思を込めたんですよ。
僕って、バカにされることが多いんです(笑)。「こんな変なカバン、売れるわけないわ」とか、「価格、ゼロ一個まちがってない?」とか(笑)。でもどれだけバカにされても、いいものを作っていると思っているし、自分の「好き」を貫いてやりたいことをやろうと思っています。
――カバンづくりに対して本当に熱い想いを持っていらっしゃるんですね。
といっても、バカにされても続けたいと思えるものに出会うまで、ずいぶん時間がかかって遠回りしました。もともとカバン職人になるなんて思ってもみなくて。子どもの頃の夢は教師だったんですよ。
――教師になりたかったのがカバン職人に。すごい変わりようですね。
そもそも子どもの頃は、将来の選択肢があまりなくて。サラリーマン、教師、公務員の3つしか働き方を知らなかったんですよ。このなかではサラリーマンが一番身近で、家族や親族はみんなサラリーマンとして働いていたんですが、優秀な人が多かったので、幼心に「自分にはムリやな」と思っていました。あとの2つだと、まだ教師のほうが興味あると思って、それで「将来の夢は教師」になったんです。
でも大学生になって将来への考え方が変わって。1年生のときに、福井県に雪かきボランティアに行ったことがきっかけでした。そこにはいろんな職業を目指している人がいたんです。新聞記者になりたい人とか、木こりになりたい人とか(笑)。身近に特殊な仕事をしている人がいなかったので新鮮でした。
またその場に、6ヶ国語を話せる通訳さんもいて、その方の一言で自分の価値観ががらりと変わりました。その方は将来教師になると決め込んでいた僕に、「夢をいま決めてしまわないで、もっといろんなものを見て、それからしたいことを決めたらいいんじゃない?」と言ったんです。
そこからいろんなことにチャレンジするようになりました。漁業や農業をしたり、不用品の撤去作業をしたり、ヒッチハイクで日本を縦断したり。将来の選択肢は3つしかないと思っていたけど、探せばもっとあると知って選択肢を増やしていったんです。いろいろ試しながら、「おもしろいけど一生したいかな?」と確認作業をしていきました。
――その確認作業の一環でカバンづくりにたどり着いたんですね。
そうなんです。カバンづくりは4年生の夏にインドへ旅したことがきっかけでした。日本で一通りいろんなことを試したんですけどまだ見つからなくて、それなら世界も見てみようと思って。
――行動力がすごいです。
当時、「好きなことってきっと白馬の王子様みたいにふっと出てくるもんじゃない。自分でめっちゃ探さないとあかん」って考えていたんです。それでインドに行ってやっと、好きなことにつながるきっかけが得られました。
――それでもまだ「きっかけ」なんですね。
そうです。別にインドでカバンづくりを体験したわけではなくて。「あれ?なんか思っていたのとちがうな」と感じたことがカバンづくりにつながったんです(笑)。
自分のなかで、インドの人はみんな、ローブを着て頭にターバン巻いて、ドラクエの主人公みたいな恰好をしていると思っていました。でも誰もそんな恰好していなくて(笑)。帰国してからもそのことがずっと気になって、頭のなかで思い浮かべた格好が「現実にあったらいいのにな」と考えていたんです。でも、よく考えたら服にそんなに興味はない。で、同時に思い描いていたその恰好に合うカバンのほうに気が向いて、「よし、カバン作ろう!」と(笑)。
――やっと「カバン」が出てきました(笑)。
思い立ってから実際に自己流でカバンを作ってみました。でもリュックが作りたかったのに全然その形ができなくて。失敗しちゃいましたね。ただ、不思議とカバンを作りたい気持ちは消えず。大学卒業後は結局普通に就職してサラリーマンをしていたんですが、その間もずっとモヤモヤ。それで社会人3年目についにカバン職人を目指すことを決めました。
――たくさんの経験を積んできて、どうしてカバンづくりがハマったんでしょう?
なぜカバンづくりだったのか…それ、わからないんですよね(笑)。というか、自分の好きなことって案外理由はわからないものですよね。僕が初めてカバンを作ったときに感じたのは、小学生のときの「鬼ごっこ好き!」みたいな単純な気持ちなんです。なんかわからんけど内からものすごい「好き」が湧いてくる。それを感じたからいまこうしてカバン職人をやっているんだと思います。
――もともと裁縫などが得意だったんでしょうか?
いえ、むしろ苦手でした(笑)。不器用で玉結びもうまくできなかったです。子どもの頃の体験を挙げるなら、夏休みの宿題の自由工作がめちゃくちゃ好きでした! 頭で考えたものが形になるのがうれしくて。
そういえば小学生のときに、ラジコンで動くロボットを作ったことがあって、それは自由研究をこなす一方で、休み時間に遊べると思って作ったんですよね(笑)。ほら、成果物だから学校に置いていても怒られないじゃないですか(笑)。考えてみればそのときの体験っていまに繋がっている気がします。いまも実用性と遊びを兼ねそろえたカバンを作っていますから(笑)。
――たしかにそうですね(笑)。例えば「まぐろバッグ」も、まぐろのぬいぐるみだったら遊びの一面しかないですが、カバンであることによって生活で使うものになっていますよね。
そうなんですよ。遊べるけどきちんと使えるものです。素材はすごくいいものを使っているので頑丈で、長く使えますよ。
――それにしても斬新なカバンが多いですよね。デザインのアイデアはどうやって湧いてくるんですか?
いきなりふっと湧いてきます(笑)。さっきと同じで、「なんで作ったん?」と理由を聞かれるとわからないんですよね。いつもフィーリングで行動を起こして、いつのまにかカバンができあがっています(笑)。
――発想するのも理屈じゃないですよね(笑)。ではどんなことをしているときに思いつくことが多いですか?
そう聞かれると、素材を見ているときに思いつくことが多いですね。そういえば「まぐろバッグ」は、岡山県倉敷のデニム生地を入手したことを機に作ったんです。倉敷ってデニムの聖地ですごく生地の質がいいんですよ。それを手にしたときうれしくて、「なに作ろかな」ってワクワクしながら見ていたら、だんだん生地の色と質感がまぐろに見えてきて(笑)。それで「まぐろバッグを作るしかない!」となりました。たぶんツルツルしたナイロン生地だったらまぐろにしようとは思わなかったでしょうね。
▼「まぐろバッグ」製作過程
「りんごうさぎバッグ」も同じです。特注のヌメ革なんですが、赤いツルツルした質感がりんごの皮にそっくり。あと、本体部分もこだわったんですよ。本体には帆布を使っているんですが、帆布のデコボコでりんごのシャリシャリ感を表現しています。
――ユニークなカバンの数々は川本さんの視点を活かして作っているんですね。普通のカバンは作らないんですか?
まったく作らないわけではないですが、他では売っていないおもしろいカバンを作るほうが楽しいですね。そもそも自分が脱サラしてまでカバン職人になったのは、自分の欲しいカバンがどこにもなかったからです。だから作り手となったいまは誰かの「こんなのほしかった」に応えたいなと。ちなみに最初に思い描いていた理想のカバンはまだ作っていなくて(笑)。つい最近そのことに気づいてただいま製作中です!
――カバンづくりの道を見つけたきっかけがいまではご自身の強みになっているんですね。
そうですね。「カバンの駆け込み寺」的な役割を担うのが「かばんばか」の特徴で強みなんじゃないかなと思っています。カバンが好きな人って一生自分の理想のカバンを追い求めていると思うんですよ(笑)。「欲しいカバンないなぁ、どこにもないなぁ」って。かといって、フルオーダーで作ってもらおうとすると数十万のお金がかかるのでなかなか手を出せない。その点、うちでは値ごろ感もリーズナブルですし、全工程ひとりでやっているので、細かい要望にも応えられます。「ずっと欲しかった」というカバンを作れるんです!
――川本さんも楽しくて、お客さんにも喜んでもらえて、素敵なお仕事ですよね。
いや、ほんと自由研究の延長で楽しくやっているんで、仕事している感覚はあんまりないですよ(笑)。だけど好きなことをやって生活できているので、必死になって好きなこと探しをしてよかったです。
――今後の目標などはありますか?
今後の目標は…100年後も使ってもらえるカバンを作ることです!
最近博物館に行ったんですが、100年前のものが展示してあって、時代を経てものが伝わるのは素敵だなと思って。僕も、買ってくれた方のお子さんやお孫さんも使いたいと思ってくれるような、受け継がれていくカバンを作りたいです。
――ありがとうございました!
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この記事を編集した人
ほんのまともみ
やる気ラボライター。様々な活躍をする人の「物語」や哲学を書き起こすことにやりがいを感じながら励みます。JPIC読書アドバイザー27期。