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2020.07.29
子育て・教育
2019.03.22
【教育】【高校生】【保護者】
将来への夢がない、やりたいことが見つからない――。そんな、悩める高校生たちの“やる気”に火をつける演劇集団が「キャンパスアクター」です。日本全国の高校生のために、進路選択をテーマとする「フューチャーライブ」を開催しています。その魅力についてお話をうかがいました!
突然ですが、みなさんは高校生のころ、どんなふうに進路選択をしましたか?
筆者自身は、正直なところあまり“やる気”が出ませんでした。「将来を考えろ」なんて高校生のうちに言われてもあまりピンときませんし、教室も「とりあえず大学に進学しようかな?」という空気だったように思います。
「とりあえず」という漫然としたイメージでは、なかなか大学受験のやる気も起こらないものです。結局、何の展望も描けないまま高校を卒業して浪人生になって、そこでようやくきちんと考えるという体たらくでした。
進路選択は高校生にとって重大な人生の選択の一つですが、それにもかかわらず「まだ考えなくても大丈夫でしょ」「何をすればいいのか分からないし・・・」「どうにもやる気になれない」といった声があがってくることは、少なくありません。
もし、ホンキで考えるきっかけさえ得られたなら。何か、動き出すための“やる気”が沸いてきたのかもしれないのに――。
この点において、近年にわかに注目をあつめているのが「キャンパスアクター」です。進路選択をテーマにした演劇を日本全国で開催し、高校生が進路について考えるための機会を提供しています。
今回、やる気ラボでは彼ら・彼女らの公演に突撃取材を敢行。
2人のキャンパスアクター、六川 渉さんと後藤 萌子さんに、取材に応じていただけました!
――キャンパスアクターについてお聞かせください。
六川 私たちキャンパスアクターは、演技や歌、公演などを活用して「高校生に夢・未来・希望を創出すること」を目的とし、全国の高校生に進路情報を伝える演劇「フューチャーライブ」を開催しています。公演回数は年間550回におよんでいます(2018年実績)。
会場となるのは主に、高校の体育館や会議室、あるいは外部のイベントホールや多目的ホールなどのスペースです。日本全国、大勢の高校生を相手に演劇を行うので、かなりのやりがいがあります。
――フューチャーライブは、学校行事として開催されることが多いそうですね。
後藤 はい。ほとんどの場合、高校主催の進路ガイダンスの一環として開催されます。よく行われる形式は、生徒たちにまずフューチャーライブで進路選択への意識を高めてもらったあと、大学・専門学校による合同学校説明会で、進学先をより具体的に考えてもらうという流れです。
立ち位置としては“進路ガイダンスの冒頭で行われる説明会”と捉えてもらえると、分かりやすいのではないかと思います。「学校情報を集めるときの注意点」「進路選択の心構え」「進学・就職のメリット・デメリット」といったことを、高校の進路指導の先生に代わって、演劇形式で高校生に伝えていくわけです。
――学校行事の説明会は、生徒たちからすると、なかなかやる気になれなさそうに見えます。「説明」ではなく「演劇」だというところに、大きなポイントがありそうですね。
六川 演劇は、シンプルに「おもしろい」ということに魅力があると思います。おもしろいことはより自然と頭に入ってくるものです。
もちろん、高校生のみなさんにそう感じてもらえるように、私たちは「楽しませるための工夫」「飽きさせないための工夫」を考えに考え抜いています。
六川 特に、冒頭はとにかく勝負どころです。フューチャーライブに来ている生徒たちは「先生に言われたから仕方なく来ている」というのがほとんどです。つまり、学校行事を消化するという姿勢。あまりやる気が出ていない。
後藤 私たちの劇は、そこで「なんだかおもしろそうなことが始まったぞ」と高校生の心をつかむところから始まるんです。
テンポ良く、聞き取りやすく、分かりやすく、緩急をつけて、もちろん笑いも取る。50分間、ただただ楽しく、私たちと一緒に進路について考えてもらう――。
生徒のみなさんに「おもしろかった! 進路について真面目に考えてみよう!」と思ってもらえるように、毎回全力を尽くしています。
――今回はKTCおおぞら高等学院 大宮キャンパス(さいたま市)の進路ガイダンスにおうかがいし、フューチャーライブを見学させていただきました。次の2演目は特に高校生や、高校の先生方の人気を集めていて、よく開催されるのだそうです。
後藤 この演目では、2人のキャストが大学・専門学校それぞれの広報担当者に扮し、ナレーションを挟みながらディスカッションを繰り広げます。
六川 高校生の進路選択において、大半を占めるのが大学・短期大学や専門学校への進学です。ただ、幅広い教養を身につける大学と、職業訓練校としての性格が強い専門学校では、授業の目的やカリキュラムの仕組みなどが異なります。「さまざまな可能性を模索しながら勉強したい」か「なりたい仕事に関わるスキルを効率的に身につけたい」かで、大学と専門学校のどちらが向いているかは大きく変わってくるのです。
各進学先の特徴や、それを選ぶことによるメリット・デメリットを、高校生にもやさしく理解してもらえるようになっています。
六川 こちらは、二人のキャストによる演劇です。進路を決められずに悩む高校生の前に、どこからともなく、おもしろおかしい風体の“謎のおじさん”が現われます。ときおり笑いを交えながら、「人間はどうして働くんだろう?」「やりたいことはどうやって見つけるんだろう?」といった悩みについていっしょに考えます。
後藤 社会に出て「働くこと」「生きること」について考えることがいままでほとんどなかった――という高校生は、結構多いんですよ。しかし、進学を目指して大学受験をするにしろ、就職活動に取り組むにしろ、「どう働くか」「どう生きるか」という目的意識を持つのは肝心です。そこを考えてもらう、良い機会にできればと思っています。
――いずれの演目でも「自分の足でしっかり情報を集めよう」「きちんと自分で考えて自分の進路を決めよう」というメッセージが強く感じられます。
後藤 そうですね。自分で調べて、考えて、決める。これは、ほんとうに大切なことだと思います。“なんとなく”で進路を決めてしまったり、保護者や先生に決めてもらった進路を漫然と行くというのは、あとあとの後悔につながりかねません。
六川 その点、フューチャーライブは「やる気スイッチが入る演劇」だな――と、つねづね思います。公演後のアンケートでは「楽しかった」「おもしろかった」という感想に留まらず、「なんとなく大学に進学しようとしていたけれど、専門学校も調べてみたいと思った」といった意欲を見せてくれることも少なくありません。
私たちの演劇が、生徒たちの前向きな思考につながっていると思うと、とてもやりがいを感じます。
――公演中、真剣な表情で舞台を凝視したり、熱心にメモを取ったりする生徒たちの様子をしばしば目にしました。
後藤 舞台の上で、私たちは“真剣に進路を考えている”キャラクターになりきっています。その姿に感情移入して――つまり、自分の可能性として投影してくれているからこそ、生徒たちは本気になって進路を考えてくれるのではないでしょうか。
六川 もちろん、進路選択へのスイッチが入ったからには、実際に行動に移してもらうことが重要です。その意味では、フューチャーライブは進路相談会や合同学校説明会とセットにすることで、最大限の効果を発揮すると考えています。そこで、実際に学んでみたいと思える学校に出合えれば、これほど素晴らしいことはありませんよ。
――進路に悩む若者に向けてメッセージをお願いします。
六川 自分のやりたいことは何なのか、そのために何をするのか、それを決める絶好のチャンスが進路選択です。そのためには、いろいろな経験をして、自分で考えることが欠かせません。まずはどんどん、情報を集めてみてください。
後藤 いまの貴重な学生生活をしっかりと楽しんで、やがて自分が納得できる進路選びをしていただきたいと思います。なりたい自分になれるよう応援しています。
【取材を終えて】
取材に応じたキャストのみなさんは、口をそろえて「演劇が大好きで、これまでずっと打ち込んでいた」「大好きな演劇が世の中の役に立っているのが嬉しい」と、目を輝かせて話してくださいました。
やりがいをもって演技に打ち込むキャンパスアクターの姿は、これからも多くの高校生の心を打つものとなるに違いありません。これからの活躍にも期待が高まります!
>>>キャンパスアクター公式ウェブサイト
>>> 進路情報チャンネル「進路TV」
(進路選びに役立つ情報をYouTubeで発信しています)
>>>企画のお問い合わせ
(株)ライセンスアカデミー [TEL:03-5925-1040]
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