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2020.07.29
仕事・働き方
2022.10.28
現実を生きるリカちゃん
2020年5月、YouTubeで「現実を生きるリカちゃんねる」を開始。当初は3名だったチャンネル登録者が2年間で59万人を突破。インスタフォロワーは102.7万人に。(2022年10月現在)。テレビ・新聞・雑誌等でも特集され、アラサー女子リカちゃんのリアルな暮らしをユーモラスに描く動画や写真が多くの注目と共感を集める。2021年10月より撮影の舞台裏をチラ見せする「現実を生きる管理室」も開始。管理人さんは、20代後半の女性で普通の会社員。
YouTube:現実を生きるリカちゃんねる
YouTube:現実を生きる管理室
Instagram:現実を生きるリカちゃん
Twitter:現実を生きる管理人
Tik Tok:現実を生きる管理人
――今回は「現実を生きるリカちゃん」の管理人さんにお話を伺えるということで、編集部の他の女性メンバーも大喜びしていまして、小学5年生の姪っ子とかも大ファンだそうです。
わあ、ほんとですか。嬉しいです。ありがとうございます。
――本当にリカちゃんみたいな方なので、ちょっと驚いています(笑)
とんでもないです(笑)。
――では、まずは「現実を生きるリカちゃん」を始めたきっかけを教えてください。
もともと普通に社会人をやっていまして、こういうことはやっていなかったんですけど、YouTubeとかインスタとか、そういうコンテンツを見るのは大好きで。「いつか何か自分でも発信してみたいな」とぼんやり思っていたんですけど、時間も全然なくて。
リカちゃんは、ちっちゃいときによく遊んでいて、大人になってからは遊んだりはしていなかったんですけど、就活でタカラトミーを受けたりして、「好きだった」みたいな気持ちはすごくあったので、久しぶりにリカちゃんと遊んでストレスを発散しようかなって。
もともとインスタとかで、大人がリカちゃんのお洋服を着せ替えて遊ぶ『リカ活』という投稿もよく見ていたので、興味があった大人のリカちゃん遊びと、やりたいなと思っていたYouTubeを合わせて、趣味としてやってみようと。
じゃあ自分だったらどういう表現ができるかなって考えたら、ちょっとズボラな親しみあるかんじを出してみようかなと思って始めました。
――「現実を生きるリカちゃん」は、アラサー女子のリアルな本音や的確なツッコミがすごく面白いんですけど、どうして笑えるものにしようと思ったんですか?
『リカ活』は、おしゃれな投稿とかキラキラした投稿をされている方が多かったのですが、私は、おしゃれな投稿もキラキラした投稿もできる自信がないし、見る側としてもネタっぽい投稿が好きだったので、自分が何かやるとしたら、キラキラしたものより等身大の姿を投稿したほうが、自分が視聴者として見るときも楽しいかなと思って、そういう方向にしました。
――昨年末の投稿では、始めた動機について「疲れた…現実逃避したい…楽しいことししたい。リカちゃんだったら、この現実世界も楽しく過ごせるかな」と書いていましたね。
そうですね。コロナになる前まで、自分の時間がまったくないような状況で。仕事も忙しかったし、その後も上司と飲んで…みたいな毎日だったので、時間的にも疲れていて。
あとやっぱり、本当は今みたいにYouTubeの動画を作ったり、何かものをつくることが好きだったのに、クリエイティブとは全然関係ない、自分としてはまったく面白みのない仕事に就いてしまったので、どこかちょっと無理をしているというか。
就活のときは、おもちゃ業界とか広告系とかも受けていたのですが、結局まったく行きたくない道に進んだこともあって仕事に全然満足できていなくて、「これが現実だよな」という、やりきれない思いがすごくあったので、こういう活動を始めたことで、今はそういう気持ちを消化しきれている感があります。
――初めて動画を作って投稿したときはどうでした?
まずは「現実を生きるリカちゃんの在宅勤務」と「現実を生きるリカちゃんのリモート飲み会の表と裏」という2本の動画を作ったのですが、本当に楽しくて。
「よしやるぞ!」みたいな、ものすごい覚悟があったわけではなくて、最初は「こんなことやって投稿してみちゃおう」みたいな、とりあえずやってみよう的なかんじでしたし、動画を作るのも初めてだったので、見様見真似でなんとか動画にしてみた、みたいなかんじから始まったんですけど、とにかく楽しい気持ちが大きかったですね。
――反応はどうでした?
まったくなくて(笑)。2本上げても見てくれる人は誰もいないので、楽しい反面、短い動画でも作るのは時間がかかるし、結構面倒くさいので、次の動画を作る手も進まず。コロナの在宅期間も終わってしまって、また仕事が普通に戻ってきて。もともと私は継続が苦手ということもあって、しばらく投稿もせず、半年くらい放置気味になってしまって。
ただ、頭の片隅には常にリカちゃんがあって、友だちに「実は私、YouTubeに投稿したことあるんだ」みたいな話をぽろっとしたときに、「なにそれ、面白そうじゃん」みたいな声をもらって、「じゃあ、もう一度やろうかな」と思って、半年後くらいに再開したかんじです。
――それが7ヶ月後に投稿された「【ご報告】いつも応援してくださっている4人の視聴者様へ」という謝罪動画ですね(笑)。当時は、本当に4人しか視聴者がいなかったんですか?
本当は3人で、知り合いが1人登録してくれたので4人になりました(笑)。
ただ、このときも「よしここから本腰を入れて始めるぞ」というわけでもなくて、YouTuberがいろいろ炎上して急上昇ランキングに謝罪動画がいっぱい並んでいたので、「ここにリカちゃんがしれっといたら面白いな」と思っただけで、結構軽いノリだったんです。
――バズったのは、どんなきっかけだったんです?
YouTubeを半年ぶりに再開したのと同時にインスタも開設して、ズボラなリカちゃんの投稿を始めたら、リカちゃん好きな界隈で徐々にフォローし合えるようになってきて。そのときは数千人くらいだったのですが、どなたかがTwitterに「こんな面白いのがあったよ」と拡散してくれて、それがどんどんクチコミ的なかんじで広がって。まずインスタがバズって、結構倍々で数字が伸びていって、そこからYouTubeにも人が流れて、みたいなかんじでしたね。
そこからテレビ、新聞、雑誌で紹介されたり、Yahoo! JAPANのトップページに出たりして、メディアさんにも載るようになって。
――どんな気持ちでした?
よくわからないというか(笑)。どっちかっていうと、自分を抑えるようなかんじでしたね。盛り上がるな、盛り上がるなって。調子に乗らないようにしよう、これは一時の盛り上がりだ、これは一時の盛り上がりだ、みたいなんかんじで、そういうフワフワした気持ちでした。
――「【現実を生きるリカちゃん】1年を3分で振り返る」という動画で、これまでの歩みを回想されていますよね。とても感動的で、思わず涙ぐんでしまいました。
ありがとうございます。私も年末にこれまでのことを振り返っていたら、センチメンタルな気持ちになってしまって、その雰囲気が動画にも出ちゃったかんじですね(笑)。
――先ほど、就活でおもちゃ会社や広告会社も受けていたと仰っていましたが、子どもの頃は将来どんな仕事したいと思っていました?
ちっちゃい頃は、美容師さんで、ちょっと成長してからは、テレビを作る人。バラエティが大好きで、テレビのADさんに憧れていました。中学生ぐらいになってからは、CMを作ったりする人もいいなと思っていたんですけど、「ああいう仕事は大変だよ」みたいな話を聞くことが増えてきて、徐々にそういう道から外れて、普通のサラリーマンになったかんじですね。
――「【現リカの原点?】中学生の時の痛作品が発掘されました【身バレ注意】」という動画では、中学生のときに作った写真絵本『くさいどる』を公開されていましたよね。本当に今のリカちゃんに通じるような作品で、とても面白かったです。
ありがとうございます(笑)。あれは中3のときに自由研究みたいな課題を出されて作ったものなんですよ。今見ると恥ずかしい内容ではありますが、当時の自分にとって初めて完成させた作品みたいものなので、結構誇りに思っていた気がします。それが広告をやりたいと思っていた時期で、いちばんクリエイティブな気持ちがあった頃ですね。
中学生の頃は、紙切れを立体的にクラフトしてみたり、模型みたいに組み立ててみたり、切り絵にしたりして、ひとりでいろいろ作って、家族に見せたりしていたんです(笑)。
――本当に作ることが好きだったんですね。
そうですね。作って見てもらう、というのが好きだったんだと思います。
ただ、高校生になると部活とか勉強とか、やらなきゃいけないことが増えてきて、余分な時間がなくなってきた分、ちょっとしたものづくりとかもしなくなっちゃって。
そのまま大学に進学し、就活をしていると、ますます自分の時間がなくなって、そういう楽しみもしなくなって、やらなくなったら気持ちも離れていった、みたいなかんじでしたね。
なので、就活のときは「やりたいことが何もない」というのがすごい悩みでした。自己分析して「自分が楽しかったのは何だろう?」と振り返ってみたら、リカちゃんで遊んでいたことを思い出して、いろいろ調べてみたら、とても心惹かれるものがあって。
「大人になっても幼心を忘れずワクワクできるってすごく魅力的だな」と思って、おもちゃ業界を見ていた時期もあったんですけど、結局、採用されなくて。
――「【嘘だらけ】現実を生きるリカちゃんの就職活動」では、就活のときにリカちゃんが「志望動機?ないな」と言っていましたよね。あれは管理人さんのリアルな本音?
そうですね。かなりリアルで、何もやりたいことはないし、でもとりあえず就活はしなきゃいけない、みたいな気持ちで就活をしていました。だから今は、中学生のときの気持ちを思い出したようなかんじで本当に楽しいです。
――動画制作の楽しさ、大変さって、どんなところですか?
大変さから言っちゃうと、できるまでにものすごく時間がかかって…。小道具を作るのは楽しいんですけど、コマ撮りなので、撮影は10時間以上。ずっと腰をかがめながら、ちょっとずつ動かしながら撮っているので、本当にもう途方もない作業というか。5分以上とか、長い動画は最後にしようと毎回思っちゃうんですよ(笑)。
でも、いいところは、完成したときに、その疲れとか大変さをすべて忘れちゃうくらい、達成感があること。あと、投稿して1人でも2人でもリアクションをもらえると「また作ろう!」って思えること。大変だけど、その分、返ってくるものもすごく大きいです。
――コメント欄も「共感しかない」「わかりみすぎる」「クオリティが神」とすごく熱くて、視聴者の皆さんも自分事のように感情移入して楽しんでらっしゃいますよね。
はい、本当にありがたいです。動画を作り始めてからは、飲み会とかにもまったく行かなくなって、家に帰ったら、ほぼほぼ毎日やっています。でも大変というよりは、楽しいのほうが大きくて、すごく息抜きになっているのかなって思います。
――管理人さんは、今も会社にお勤めなんですよね。チャンネル登録者が53万人ともなると、会社を辞めてYouTuberに専念しようと思ったりはしませんか?
今は考えてないですね。53万人って数字は大きいんですけど、会社を辞めてYouTubeだけで生活できるかっていうと、上げる本数とか頻度、動画の長さなどの問題もあるので、あんまり現実的じゃないかなって。もともと私は安定志向なタイプなので。
――逆に会社員とYouTubeを両立する良さは、どんなことだと思います?
好きなことは好きなこととして、始めたときの心を残しておけること。好きなことを仕事にするのはもちろんいいと思うんですけど、数字を優先してしまったり、視聴者の反応だけを求めてしまったりすると、負の連鎖が続くというか、好きで始めたのに苦しくなっちゃったりすると思うんですよ。今は好きなことと仕事を完全に分けて考えているので、リラックスしながら、お金や数字にのめりこまずに、できているのかなって思います。
あと、会社の出来事とかもいろいろ吸収して、何かあってもネタにして発散するみたいなかんじで、ワンクッション置けるのもいいのかなって思いますね。
――「現実を生きるリカちゃん」を始めて良かったことや、自分が変わったことは?
仕事しかしていなかったときは、「好きなことがない」みたいなかんじで、それこそ人と飲んだり、ワイワイするのが好きなのかなって思っているぐらいだったんですけど、リカちゃんの活動を始めてからは、ものを作って、ひとつの動画とかにする楽しさを見つけたので、「自分が好きなのはこれだ」ってことを見つけられただけでも、すごい大発見だと思っています。
ずっと忘れていた好きなことを再確認できたのが、すごく嬉しくて。「自分が輝く場所」っていったら変ですけど、自分が向いていることや、好きなことを見つけられただけでも、毎日の生活がまったく違うなって思います。なんか一気に色がついたみたいなかんじですね。
――子どもの頃から好きだったリカちゃんと一緒にできたのも嬉しいでしょうね。
本当に一緒に育っているみたいですね。ちっちゃいときは、ちょっとお姉さんとして一緒に遊んでくれて、今は再会したようなかんじで、旧友というか、幼なじみみたいな感情があります。だけど、自分を投影しちゃったりもするので、なんか不思議なかんじです。
数字が伸びているのを見ても、自分というより「リカちゃんすごいね」って客観視できて、他人事みたいなかんじもしていて。
何かで読んだのですが、ミニチュアやお人形で行うメンタルケアがあるらしくて、自分を人形に見立てて、俯瞰して見ることで、嫌なことがあったりしても、「今、自分はどう思っているんだろう」とワンクッション置いて考えられるそうなんです。そういう効果もあるのかもしれませんね。
――ありのままの自分を自己肯定できるようになったりもしました?
それもありますね。「今のままでもいいかな」みたいな(笑)。それがいいことなのかはわからないんですけど、「みんなこんなかんじなんだよな」と思えるようになって、以前は感じなくてもいいような負い目を感じることが多かったのですが、そういうことがなくなりました。
――リカちゃんの「ゆるく頑張ろう♪」というメッセージは刺さる人が多いと思います。
そうですね。SNSとか見るのが大好きなので、いろいろ見るんですけど、人がキラキラ頑張っていたり、丁寧な暮らしをしているのを見て「ステキだなぁ」って思うのはいいと思うんですけど、それで終わればいいのに「なんで私はできないんだろう…」とネガティブになっちゃう人もやっぱり多くて。私もそう感じることがあるのですが、そこまで感じることはなくて。リカちゃんの等身大の姿を見て、自己肯定を感じてもらえたらいいなって思います。
――「やる気ラボ」も、20代後半から30代の女性読者がたくさんいらっしゃいます。仕事や生き方など、悩んでいる方に何かメッセージをいただけますか。
やる気って、私も出すのが苦手なタイプというか。会社でも「やる気出せ」といわれることがあって、もちろんやる気は出したほうがいいと思うんですけど、強制されると、まったく出なくて。やっぱり自発的に出さないと、全然やる気になれないので、自分がやる気を出せる場所を探すのがいいのかなって思いますね。
ちょっとでも得意なこと、向いていること、好きなこと、輝けそうなところを見つけて、結果、誰かに認められたり、自分で達成感を得ることが、いちばんやる気の出し甲斐があるというか、出し得なのかなって思います。
仕事もそうですし、リカちゃんの活動は、今はそれ自体が自分に向いていると思っているので、無条件でやる気が出ます。今もずっと出ている状態です(笑)。
――すばらしい(笑)。では最後に、今後の夢や目標は?
最初になんとなく考えていた数字的な目標はもう超えてしまっているので、数字というよりは、変わりなく投稿をし続けたいなって思っています。
今は、ちょっとズボラで、独身で、普通の生活をしているリカちゃんを投稿していますが、自分自身のライフスタイルが変わったら、それに伴って、たとえば結婚したリカちゃん、子どもを産んだリカちゃん、子育てリカちゃんとか、いろんなステージを踏ませていきたいなって。
普通のYouTuberが年齢を重ねていくように、リカちゃんも「女性YouTuberの人生」みたいなかんじにして、ずっと続けていきたいです。
――おばあちゃんになるまで続けていけたら、すばらしいですね。
そうですね。ボケ予防になると思います(笑)。
――今後もリカちゃんの活躍を楽しみにしています。本日はありがとうございました!
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この記事を編集した人
タニタ・シュンタロウ
求人メディアの編集者を経て、フリーランスとして活動中。著書に『スローワーク、はじめました。』(主婦と生活社)など。