仕事・働き方

【相談】キャリアアップすべき?部署でまとめ役を求められるワーママの悩み。【第12回】心理学者に聞く、人間関係のお悩み相談室

2020.01.23

家庭、学校、職場。私たちの暮らしはつねに人間関係の中にあります。そこで時として抱え込むモヤモヤとしたストレス。それは私たちのモチベーションを大きくゆさぶります――
さまざまなゲストが持ち込む人間関係のアレコレ。周りに知られるのはちょっと恥ずかしい悩みについて、動物に扮して”人間関係の心理学者”齊藤勇先生と語り合う連載です。


今回のゲストは、課長でもないのに上司からも後輩からもリーダー的な立ち位置を求められるワーママ。家庭優先で昇進を望んでいない女性に対して、齋藤先生からのポジティブになれるアドバイスをご紹介します。



 

サイトウ先生
(立正大学心理学部名誉教 授 齊藤 勇 先生) 「人間関係」を専門とする心理学のエキスパート。 日本ビジネス心理学会長。
セブ島などで英会話学校のアドバイスをしたりといろいろ大活躍のスゴい人。とても気さくなおじさまです。

きつねさん
今回の相談者。責任感がつよく、頼まれたことは期待される倍返しで返すワーキングマザー。今ほしいものは睡眠時間。

こぶた
やる気ラボスタッフ。ラボに新しいアルバイトさんが増え、少しは頼られる存在に(?!)しかし、たまに学生アルバイトに同化して見えるのはなぜだろう(わんこ談)

わん子
やる気ラボスタッフ。年齢不詳の女性会社員。娘たちのスマホ写真の技術の高さに驚かされる。いつも見たくないものを全てキレイに隠した、映える(ばえる)写真を撮ってくれて助かっている。

周囲からの期待に応えたい!でも…

今の時代は、どんどん女性が活躍する時代ですよね。部長や役員クラスでも女性がバリバリ仕事してますから。

ほんと。ウチの会社でも女性の部長、たくさんいるしね。

わん子さんも、ウチの部長より部長っぽいですよね。

社歴と年齢は、ウチの部長より上だからね(笑)

態度の大きさもでは?

丸焼きにしてやろうか?

さ、さて、今日のゲストはキツネさんです。よろしくお願いいたします。
キツネさんは、仕事での自分の立ち位置でお悩みということですが?

よろしくお願いいたします。

私はチームの中では社歴も長く、まとめ役になってしまいます。かといって権限などがあるわけでもないし、個人で抱えている仕事もあるので全てをやりきろうとすると無理があって…どこまでしたらよいものか悩んでいます。

なるほど。現在のチーム構成はどのような感じですか?

部長、その下に課長、そしてスタッフが10名ぐらいですね。

うーん…。部長の下に課長が一人の直列系統は難しいですね。

それぞれの命令をしたがるので、組織図上うまくいかないですよね。

そうなんですよね。そのとばっちりがベテラン社員に来ている気がします。

問題点は二つですね。一つはこのグループに長は二人いらないこと。そして、二つ目はグループの人数が多いこと。人数が多いと自然にベテランがリーダー的な役割を求められてしまいますよね。

そうなんです。でも、そうかといって管理職を目指すことは全然考えてなくて。

そうなんですか?

はい。これまで培ってきた経験を活かして専門的に今の仕事を極めていきたいという思いが強いものですから。

なるほど。周囲に求められるリーダー的役割と、自分が思い描く専門的な役割との間での葛藤ということですね。

はい。チームの人数が多いので、長く働いてきた自分がまとめ役にならないといけないという気持ちはあるのですが、今抱えている仕事を手放すのも難しい状況で…。

周囲に仕事を振り分けるのは難しいですよね。

そうですね。自分のやり方があるので、その通りにならないとわかっていて手放すことはどうしてもとまどいますね。こだわりを持ちすぎているのかもしれませんが。

チームリーダーはいるんですか?

それが、いないんです。発言した人がリーダーみたいになってしまうんですよね。
私としてはそういった状況では黙っているわけにはいかないので、その辺が難しいです。

現在のポジションで求められる役割は?

上司の方の関係性はどのような感じでしょうか。性別は男性?女性?

二人とも男性です。

それは難しいですね。男性と言うのは上下関係で色々なことを判断します。 女性以上にそういう部分に敏感なんですよ。

ですよねー!それは感じます!そして性格がまた、正反対なんですよね。

具体的には?

悪い言い方ですが…課長は腹の内は何考えているかわからないという感じでしょうか(笑)

いやー、それは今の組織図上、位置的にそうならざるを得ないんですね。腹黒いひとなら真っ黒になっちゃうぐらいです(笑)。

真っ黒に!!(笑)
課長は軽い感じなのでどこまで信用していいのかわからない部分がありますね。一方、部長に関しては課長に比べて一緒に働く期間が長いので、どう考えているかはよくわかります。

逆に部長も私のことをわかっているので、色々任されてしまって…。実際やるとなったら大変なことが多いんですけどね。

信頼されているんですね。先ほど男性同士の難しさについてお話しましたが、女性以上に嫉妬深い一面もあるのです。ですから、部長がキツネさんを頼ってしまうことで、ますます課長は疎外感を感じてやりにくい。私もその立場だったら嫌ですね。(ポツリ)

なるべく課長には話しかけるようにしたり、私なりには努力しているのですが…。確かに課長からしたらやりにくいですよね。

変な話、課長は組織上いらない。その方がどうこうではなく、 組織心理学的に言っていらない。こういう形だと権限もないし、辛い立場だと思いますよ。

課長の立場の辛さはもっともですが、組織のことに気を取られるのはいい加減面倒になってきたというのが率直なところです。

チームがうまく機能し始めたなと思うと、誰かが異動したり辞めてしまったりで。

仕事をしていく上で、ある程度自分の責任で仕事ができたら達成感を感じますし、仕事の先にあるお客様のことを考えれば、社歴とか考えずに手をあげてほしいと思うのですが…。

キツネさんと部長の業務上の考え方はほぼ一致しているんですか?

そうですね。

現状では課長には泣いてもらって部長が全体をまとめていくしかないですよね。本来は課長が補佐だけど、課長自身が「自分は補佐だ」とは思えないと思うので…。

キツネさんが補佐的な立場でまとめていく、というのが現在の環境の中では良さそうですね。

複数の選択肢が自分を前向きにしてくれる!

選択肢はその時おかれている自分の環境によって変わる

いっそのこと自分も課長になったほうがいいのかな?と思うこともあるんですよ。


確かに。これは勝手なアドバイスですが、八方塞がりな現状では課長になった方がいいかもしれません。

長といってもただ”長”が付くだけというかもしれませんが、そんなことはありません。立場が変わると見る目の位置が変わります。新しい視点、より高い視点から全体が見れます。

…そうかもしれません。

それに権限が付きますから、やりたいことが周りに気を使わずスムーズにできるようになります。それでストレスがかなり減りますよ。

キツネさんのように、ただ偉くなりたいという訳ではなく、権限を持ってより広い仕事をやりたいという人が上に立つのが正解だと思いますね。私の意見ですがね… 。

そうですね…。上に立ちたいというよりは、同じ状況なら、仕事がやりやすくしたいというところです。

是非ご自分で考えて決めて頂きたいと思いますが、嫌だなと思った時に自分には別の選択肢もあると思うだけで、今よりも前向きな気分になりますよ!

子どもは母の背中を見て育つ

ママ、おしごとおつかれさま!

一度は考えた課長職についてもう一度検討してみてはいかがですか?

当時は参考にしたいロールモデルがいないことと、家庭と仕事が両立できるかという不安からスキルアップを思いとどまったんです。

見本になるような人なんて世の中にはいないんです。憧れるかもしれませんが、立派な人って小説の中にしかいないんですよ。

チームの中でキツネさんが見本になっている部分があるわけですよね?実際部長からも頼りにされているわけですし。

そうでしょうか…。

そうですよ!現在既にリーダー的存在なのだから、課長という肩書がつくことでできることはぐっと増えます。

モデルになるような人がいなければ、自分がモデルになればいいわけなんで(笑)

そ…それは難しいかも⁉

それからご家庭と仕事との両立についてですが、お子さんが大きくなると段々手がかからなくなりますよね。当時と状況は変わっているのではないですか?

子ども達は確かに以前よりかなり手はかからなくなりました。

お子さんはお母さんの成長を見ます。小さい時は一緒にいてほしいかもしれませんが、大きくなったら社会に目が向いてきますからお母さんの成長を見たいのです。

お母さんにとっても新しいロールモデルを見せる良い機会ですし、お子さんにとってもお母さんが課長だなんて誇らしいと思いますよ。

私の母が体が弱いこともあって、将来的に介護の事なども気がかりではあるのですが…考えすぎですかね?

老後は何千万貯蓄しないといけないとか、どこの施設に入るだとか将来の問題は考えればキリがありません。でも、その時の事はその時のこと。

本当に介護が必要になったら課長職を降りるとかその時々でできることがあるはずです。

あまり先の事を考えすぎず、今の人生と向き合ってみてください。

そうですね!前向きに考えてみます。本日はありがとうございました。

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【第13回】「人間関係の心理学」は、 学校生活につまづいた子どもの気持ちにどう寄り添うのが正しいのか?多くを語らなくなった高校生の娘への対応に悩む女性ゲストが登場します。

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この記事を担当した人

わん子

やる気ラボに古くからいる微魔女犬。やる気が失せると顔にでるためわかりやすい。my癒しは、滝と戦闘機と空を見上げること。

 
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