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やる気を出すためにはリフレッシュが大切。そうは言っても、幼い子どもを持つ社会人のみなさんにとって、息抜きできる機会は非常に少ないかもしれません。
そんなあなたに温泉のすすめ!
大人も子どもも関係なく楽しめる場所、それが温泉です。
さまざまな視点から、やる気が自然と湧き出してくるような全国の温泉地を紹介します。
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皆さんは、尾崎翠をご存知でしょうか。
彼女はその活動期間の短さから、「幻の作家」とも呼ばれる昭和の女流作家です。甘酸っぱい恋愛模様を描いた『アップルパイの午後』や、第6感を超える詩を書きたいと願う少女を描いた『第七官界彷徨』など、少女小説を中心に多くの作品を残しました。
翠の作品は、幻想的で感覚的、ときに官能的とも評され、現在でもなお新鮮な驚きをもって読みつがれています。
明治29(1896)年、翠は鳥取県岩美郡にある岩井温泉に生まれました。日本海に近い田園地帯に湧く、閑静で由緒あるこの温泉地は、翠の作品と同様、全国的に有名ではないながらも、どこか高尚なにおいのする温泉地です。
岩井温泉は現在、宿3軒に共同浴場が1軒と、決して大きな温泉地ではありません。しかしこの地では、こんこんと湧き続ける源泉と「湯かむり」と呼ばれる奇習が、1300年という歳月の中で守り継がれています。
山陰最古の温泉とも呼ばれるこの温泉は、優れた温泉地の証である「国民保養温泉地」に指定されています。温泉内には尾崎翠の人生を学べる「尾崎翠資料館」、近隣には国指定史跡「岩井廃寺塔跡」や鳥取県最古の擬洋風建築「旧岩井小学校校舎」などがあり、歴史散策を楽しむことができます。
幼いころをこの地で過ごした翠もまた、自然と文化に恵まれたこの場所で「第7感」を育んだのでしょう。
筆者が訪れた旅館は、江戸時代末期創業の「岩井屋」。湯治場情緒をとどめる木造三階建ての和風旅館です。
胸までつかる深い浴槽の「長寿の湯」は、底から湧きだす源泉をそのままかけ流しで味わうことができます。泉質は硫酸塩泉で、皮膚のしわをのばす効果とともに、飲用もでき、高コレステロールや便秘に効くとのことです。
岩井温泉の源泉は49度と熱いため、江戸時代から「ゆかむり唄」をうたいながら互いに湯をかけあってのぼせを防ぐ独特な入浴作法が伝承されています。
手ぬぐいを頭にのせ、ポカポカと湯をたたくその姿はユーモアたっぷり。リズミカルなゆかむり唄は、長いものではなんと100番まであると言われています。
全国にはたくさんの有名温泉地があります。しかし、ここほどしみじみとした趣を感じる温泉地も珍しいと、筆者は感じます。
『かもめ食堂』で著名な群ようこ氏は、1998年に伝記『尾崎翠』を著しました。翠の人生を描いたこの本は、「私は『第七官界彷徨』を読んで、日本の小説はこれ一作でいいとすら思ったことがある」という言葉で結ばれています。
岩井温泉もまさに「これ一つ」。翠の小説のように幽寂閑雅な温泉です。
【所在地】 鳥取県岩美町
【成分】 カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉
【pH/温度】 7.1/49℃
【照会先】ゆかむり温泉
今回の「やる気の源泉」まとめ
① 歴史と文化を感じる
② 奇習を体験する
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この記事を書いた人
勝部晃多(かつべ・こうた)
やる気ラボの娯楽記事担当。23歳。ハウストラブルコラムやIT関連のニュースライターを経、2019年8月より現職。趣味はプロ野球・競馬観戦や温泉旅行、読書等と幅広いが、爺臭いといわれるのを気にしているらしい。性格は柴犬のように頑固で、好きな物事に対する嗅覚と執念は異常とも評されている。
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