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子育て・教育
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あなたの口癖が子どもの可能性を奪っているかも!?
我が子の成長を妨げてしまう言葉、もしかしたらつい使ってしまっているかもしれません。
そんな気づきが得られる一冊です。
(文:池田さち子)
幼稚園の発表会。他のみんなは綺麗に並んでお遊戯しているのに、自分の子どもだけ途中で踊るのをやめてしまい、ぼおっとたたずんでいる。
そんな我が子の様子を見てしまったら、親としては不安を感じずにはいられません。
授業参観でみんなの輪から離れてよそ見をする息子や、他の子よりも着替えが遅いのに気にもしていない娘を目の当たりにし、思わず我が子を叱ってしまう。それは親の反射的な行動と言ってもいいのかもしれません。
子どもは親には理解しがたい行動をするものです。不意に目の前に現れたそのあまりに突飛な子どもの行動に、親は「ええっ?!」と驚き、「なんでそんなことするの?!」と考えている間に不安な気持ちにさせられてしまいます。
結果、混乱してしまった親はそれまで思ってもみなかった言葉を、つい攻撃的に子どもに伝えてしまうのです。
「どうしてみんなと同じにできないの?」
思わず我が子に投げかけてしまった言葉。それが子どもを傷つけてしまうことがあります。
その言葉が子どもを傷つけていることに気が付けなかった場合、何度も同じ言葉を繰り返し伝え続けてしまうことで、子どもの傷が大きくなっていってしまうこともあるのです。
海原純子氏の書籍「子どものやる気を育てる話し方 心をキズつける話し方」では、子育て中の親がつい口にしてしまう言葉や子どもへの対応について、丁寧に解説しています。
それは、小さな子どもを持つ親にとって「これ、わたしもつい言ってしまっている」という気付きにあふれています。
かくいう私も、本書に多くの気付きを得た一人です。自分が子どもに投げかけてきた言葉や行為が過ちであったかもしれないと思い返すことは、決して気分のいいものではありません。
私自身、読みながら「これ、自分の親からよく言われたな」と思う言葉もありました。自分が親から何度も聞かされてきた言葉は、自身が子育てする際に悪気なく使ってしまう言葉になってしまうのではないでしょうか。
だからこそ、その言葉が子どもを傷つけていることに気が付けないのかもしれません。
自分らしく生きられない母親は、子どもに自分の期待と夢をおしつけ、思い通りの人生を送らせようとシナリオを書いたりしています。
海原純子著「子どものやる気を育てる話し方 心をキズつける話し方」PHP研究所 P.3「はじめに」より
「あなたのためを思って言うのよ」
という言葉の裏にもしかすると、母親を満足させてほしい、母親の鼻を高くしてほしいという思いがないでしょうか。
母親が子を思う気持ちは本物です。本当に子どものことを思っています。しかし、だからこそ自分のわずかな自尊心が入り込んでしまった言葉が我が子を傷つけてしまうことに、気が付くことができません。
特に子どもが小さいうちは「母親の思う子どもの理想像」に近づけることが子どもも幸せになると考えてしまいがちです。それは、「子ども自身が自分で描く理想像」とは異なるかもしれないのです。
「どうしてみんなと同じにできないの」と子どもを非難する親を見かけます。
この言葉は、子どもにとって「とりあえずみんなと同じにしていれば怒られない」という意識を植えつけ、
海原純子著「子どものやる気を育てる話し方 心をキズつける話し方」PHP研究所 P.43「第二章子どもと共感しよう」より
「みんなと同じならいいことなのだ」「みんなと同じようにやっていれば問題ない」という方向に発展させてしまいます。
なかなかうまくできない我が子を何とかしたい。そう思って投げかけ続けた言葉によって、子どものアイデンティティーの確立が遅れてしまうのはひどい皮肉です。
子を思う親の気持ちが、子どもの人生において最初の躓きになってしまう可能性すらあるのです。
子どもを傷つけることなく話すこと。子どものやる気を育てること。それは日常のほんのささいな言葉選びから始まります。
ささいだからこそ、すぐにでも自分の生活に取り入れることができます。海原純子氏の「子どものやる気を育てる話し方 心をキズつける話し方」は、そんな実用的な良書です。
子育てに悩むお母さんには解決のヒントが、悩みのないお母さんには気付きが多くあるこの一冊。子どもと触れ合うすべての方にご一読をおすすめします。