新納一哉さん、ゲーム開発にかける想い「やりたい気持ちに、ウソをつきたくない」
2020.07.29
仕事・働き方
2019.07.2
川崎:お話をうかがっていて思ったのですが。
木村:はい。
川崎:何となく、起業する――自分で事業を立ち上げるとなると、全部ひとりで何もかももう死ぬほど頑張るものだと。そんな「スーパーマン」ばかりだというイメージを心のどこかで持っていました。
ただ、必ずしもそういうわけじゃないんだなと。
木村:事業を計画するときに「継続性」は意識していました。採用当時、私としては授業と両立するためには週3回に限定した営業にすると決めたんです。メニューを3種類に厳選したり、時間短縮のために、使い捨て容器にすることで洗い物を減らすなど、オペレーションの工夫も凝らしました。実際、大学からはそこが大きな好評価ポイントになったとうかがっています。
川崎:ここまで、大変だったこともあると思います。
木村:たくさんありました。お店を始めたばかりのころは売れ残りが多くてとても落ち込みましたよ。でも、そこはまた次頑張ろうと切りかえて、地道に営業を続けて。今年に入り結構お弁当が売れるようになりました。続けてきて良かったと思います。
川崎:継続は力なりですね。
木村:まあ、今度は売れる分だけ仕込みも増えて大変になったんですけど(苦笑)
川崎:嬉しい悲鳴ですね…(苦笑)
木村:ただ、私が大変そうだと察してくれたアルバイトさんが積極的に手伝っていただいたりして、おかげでへこまず自分のモチベーションを保ちながらやれています。だから、アルバイトさんには感謝しています。 今年は、週3日から週4日に営業日を増やすことができました。
川崎:続けるというのは、とても大切なことだと思います。続けるからこそ、お客さんは喜びます。
木村:正直、こんなに続くとは思いませんでした。半年で店を畳んでしまう学生さんもいると聞いていましたから。できる範囲内で、ムリせずやってきたのがよかったんでしょうね。アルバイトさんにもムリをさせないよう努力してきました。ときには「これもやりたい」と思う気持ちを抑えたことも。自分が頑張れても他の人が頑張れなかったら、続けられませんから。人の気持ちを考えながらやってきた結果かと思います。
川崎:陳さんが経営者として、いま大切にしているものは何でしょうか。
陳:アルバイトさんを大切にすることを心がけています。経営に必要なものは「人・物・金」だとよく言われますが、その中で“人”が一番大切だと思います。お互いに話しやすい雰囲気を作ったり、一人暮らしのアルバイトさんには残ったお弁当を提供したり、働きやすい環境づくりは欠かせません。
川崎:アルバイトさんも、はじめのうち、慣れないうちはなかなか活躍できないと思います。そんなとき、「教えるより自分でやったほうが早いんじゃ」と思ってしまうことは…
陳:それは、ありますね。
川崎:かと言って、自分で全部やってしまうようだと、アルバイトさんは成長できませんし、モチベーションも上がりません。
陳:そう思います。なので、しっかり時間をかけて「人を育てる」というのが大切です。
川崎:私みたいにいい年した大人でも、「教育」というのは大勢が苦労しています。陳さんは普段、どんなふうに人を育てていますか?
陳:一律にこれがうまくいくというやり方はなかなかないのですが、よくやっているのは、その人がこなせるレベルよりも“少しだけ”ハードルを高くして仕事にチャレンジしてもらうことです。
川崎:“少しだけ”――ですか。
陳:例えばタマネギを切るのに30分かかる人の場合、「20分で切ってね」と、10分だけ短縮して目標を設定するんです。
できなかったとしても、怒ったりはしません。「次は頑張ってね」とはげましています。めげずに少し高いハードルを跳ぼうとしつづけてくれるのが大事だと思っています。
そうしたことを繰り返す。毎日ちょっとずつではありますが、着実にスキルアップにつながります。
川崎:ちょっとずつ。着実に。
陳:はい。小さくても、目標に向かい続けるのがモチベーションになると思いますから。それは僕自身にとってもそうです。これからもっと勉強して、学外でも店舗を持ちたい。今は平日働いて土日に大学院で勉強しています。夏休みまでは休みなしですごく大変ですが、次の目標がモチベーションとなって、それに向かって頑張っています。
川崎:ありがとうございます。
最後に。起業に少し興味があっても「僕にはムリなんじゃないか」とか「そんなスゴいこと、できる気がしない」と思ってためらっている――、そんな高校生たちにメッセージをいただけたら。
木村:いましかできないことって何だろうと考えたときに、これがいちばん、いましかできないことだと思ったことを挑戦してみたらいいと思います。
陳:とりあえずでもいいからチャレンジするのがよいと思います。やってみてつまらなかったら途中でやめてもいいし、本当に楽しかったら続けてみて、そこで目標を見つけてください。ぜひ目標に向かって努力してほしいです。
川崎:ありがとうございました。これからもご活躍を期待しています!
大学生活と並行して、学生経営者として活躍されているお二人のお話でした。進路選びの参考になれば幸いです!
>>千葉商科大学公式ウェブサイト
この記事を担当した人
川崎 健輔
やる気の科学研究所のしたっぱ研究員。1987年生まれ。横浜育ち。1児の父。教育系の業界新聞を書いていました。あっちに首をつっこんだりこっちに鼻をつっこんだりしています。差し入れされて嬉しいのはバームロールです。鳴きます。