新納一哉さん、ゲーム開発にかける想い「やりたい気持ちに、ウソをつきたくない」
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子育て・教育
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それでは、どうすれば子どもが自由に、自主的にさまざまな活動に取り組むことができるようになるのでしょうか? モンテッソーリが特に重視したことの一つが、「環境」を整えることです。
モンテッソーリが設立した「子供の家」では、さまざまなかたちの、色とりどりの教具が整然と並べられていて、子どもたちは自由にそれらをさわりながら学んでいたのだそうです。そうすると、子どもたちがしだいに「あれをやってみたい!」「これをやってみたい!」という欲求を生み出すようになります。それを注意深く観察するのが、教師の役割となります。
ただ、放っておいても子どもが適切に成長するとは限りません。子どもが「あのパズルをやってみたい!」「ハサミで紙を切ってみたい!」という気持ちを見せてくれたとしても、「どうやればいいか」が分からなければ、スムーズに行動を起こすのは難しいでしょう。
そこで教師に求められるのが、実際に子どもに「やってみせる」こと――モンテッソーリ教育でいう「提示」です。モンテッソーリは、提示で求められるポイントを次の7点としています。
①対象を一つだけ取り出す(ほかのものはなるべく、すべて片付ける)
②動作を分析し、順序立てる
③むずかしいところを、ハッキリさせる
④動作を見せる間は、言葉は使わない
⑤正確に実行し、精密なところに心をこめる
⑥教えながら、教える(子どもが間違えたとしても、それを訂正するのではなく、あくまで教えて、教えて、繰り返し教える)
⑦自分からする自由を与える(やり方を教えたあと、それをするかは子どもの自由に任せる)
これらの条件からは、何らかの動作へのやる気を見せた子どもに「正しいやり方」を教えるためには、シンプルに、ていねいに、愚直なまでに“正確に”、やり方を提示することが大切だ――という、モンテッソーリのメッセージが伝わってきます。
モンテッソーリという先生はある日、子どもたちに「鼻のかみ方」を教えました。「鼻をかむ時はね」そういって、動作で示しました。 一、紙にひろげ、手の上にかける。 二、鼻にあてる。 三、右と、左とに分けて、片方ずつかむ。 四、かんだところを包み込む。 五、包み込んだのを確かめてからすてる。 「鼻をかむ」一連の動作を、分析し、順序立てて、やってみせました。すると、思いがけないことに、その一部始終を見ていた子どもたちが、いっせいに拍手をしてくれたのです。…(中略)…子どもたちはいつも「鼻をたれている」ということで注意されるか、大人から無理にかんでもらうかでした。それは屈辱の種だったのです。ところがモンテッソーリ先生は、「ぼくも、かめる!」ように、わかりやすく、ゆっくりと、はっきりと鼻のかみ方を教えてくれたのです。だから子どもたちは嬉しくなって拍手したのでした。 引用:『お母さんの「敏感期」―モンテッソーリ教育は子を育てる、親を育てる』(相良敦子 著 文春文庫)※太字・強調は引用者によるもの |