新納一哉さん、ゲーム開発にかける想い「やりたい気持ちに、ウソをつきたくない」
2020.07.29
子育て・教育
2019.02.6
【幼児】【小学生】【中学生】【高校生】【保護者】
・ひと口にやる気と言っても、その形は子どもによってさまざま。
・お小遣いやご褒美などの「報酬」は、かえってやる気を低下させることもある。
・キーワードは「内発的動機づけ」。どんなやる気を育てたいかを考えよう!
「うちの子が、やる気になっている。自分から机に座って勉強をしている・・・!」
多くの保護者にとって、理想的とも言える状況ではないでしょうか。
子どもの「やる気」は、教育業界でも特に注目されている、キーワードの一つとなっています。なんだかんだいっても、子どもが自分から机に座り、勉強をする学習習慣さえ身についていれば、自然と結果はついてくるものです。
しかし、「やる気ってどうやって引き出すの?」「どんな声をかければいいだろう」「このやり方でいいんだろうか?」といった疑問も尽きません。
保護者のみなさんに、子どもの「やる気の出る毎日をつくる」方法を考えてもらうためのポイントを、教育心理学を専門にしている香川大学・岡田涼先生にうかがいました。
【連載】保護者にオススメ! 子どもの「やる気」の引き出し方
第1回 どんな「やる気」を育てたい?
第2回 自分で決めると「やる気」が出る?
第3回 「やる気」の活かし方を知っている?
第4回 「やる気」はうつる?
第5回 「わからない」がわかると「やる気」になる?
第6回 誰のために「やる気」になる?
多くの保護者の方は、子どもにやる気を出してほしいと思っているでしょう。
しかし、やる気を出してもらうのは、それほど簡単ではありません。
みなさんも普段から「ゲームソフトで釣ってみようかしら」と思ってみたり、「いろんなことに興味をもたせるのが大事だわ」と思って博物館に連れて行ってみたりと、あの手この手で子どものやる気をひき出す方法を試行錯誤されているかと思います。
そんなみなさんだからこそ、今回あらためて考えて欲しいことがあります。
そもそも、「やる気」とは何でしょうか?
とりあえずは、「一生懸命問題を解いている」「がんばって宿題をしている」といった様子が浮かんできそうです。そんな姿が見られれば、「うちの子もやる気になってくれてよかった」と安心するかもしれません。
ただ、その「やる気」の出どころ、つまり「なぜやる気になっているか」というのは、もしかしたら一人ひとりまったく違っているかもしれません。
少し視点を変えて、子どもの頭の中を想像してみましょう。
同じように勉強をがんばっていても、「ゲームソフトが欲しい」と思っているかもしれませんし、「戦国武将のことをもっと知りたい」と思っているかもしれません。
ほかにも、「友だちに負けたくない」とか「将来、獣医になりたい」と思ってがんばる子もいるでしょう。
こう考えると、ひと口にやる気と言っても、いろいろな種類がありそうです。
いろいろなやる気がある中で、興味や好奇心からがんばるやる気を「内発的動機づけ」といいます。「おもしろい」や「知りたい」が原動力となっているような、自分の内側から沸き起こってくるやる気です。こういったやる気が高まっていると、人から言われなくても自分からがんばります。
お子さんが小さかったときに、何も言わなくても夢中で図鑑を見ていたり、自分から字を書く練習をしたりしていませんでしたか? こういうときのやる気が、まさしく内発的動機づけです。
学校段階や学年が上がってくると、勉強に対して内発的動機づけを持つのは難しくなるかもしれません。しかし、「証明問題が解けたときの達成感が好き」と思って数学に一生懸命取り組む子や、「天体の動きが不思議だからもっと知りたい」と思って理科をがんばる子はいるでしょう。
何とかやる気を出してもらおうと思って、お小遣いやご褒美といった「報酬」を与えることもあるでしょう。そのこと自体が悪いわけではありませんが、報酬は内発的動機づけを低めてしまうことがあります。
「お小遣いが欲しいからがんばる」というように、報酬を目的としてがんばるやる気を「外発的動機づけ」といいます。お小遣いやご褒美のことで頭がいっぱいになっていると、勉強自体のおもしろさや問題が解けたときの喜びには目が向きにくくなります。そうすると、報酬があるうちはよいのですが、それがなくなったときにはやる気を維持するのは難しいでしょう。
さて、みなさんが育てたいのは、どんなやる気でしょうか? 机に向かってがんばっている子どもの背中を見ながら、もう一歩踏み込んで、「どんなやる気でがんばっているのかな?」と考えてみましょう。普段、お子さんは勉強して興味をもったことや、もっと知りたいと思ったことを口にしていますか? ご褒美のことで頭がいっぱいになっていないでしょうか? 「内発的動機づけ」という目でみてみると、少し新しい気づきがあるかもしれません。
【連載】保護者にオススメ! 子どもの「やる気」の引き出し方
第1回 どんな「やる気」を育てたい?
第2回 自分で決めると「やる気」が出る?
第3回 「やる気」の活かし方を知っている?
第4回 「やる気」はうつる?
第5回 「わからない」がわかると「やる気」になる?
第6回 誰のために「やる気」になる?
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この記事を書いた人
岡田 涼
香川大学教育学部 准教授。2008年、名古屋大学大学院教育発達科学研究科修了。11年、香川大学教育学部講師就任。13年、香川大学教育学部准教授、香川大学大学院教育学研究科准教授就任。現職。友人関係場面における自律的動機づけの役割や、学習場面における自律的動機づけなどを主な研究テーマとしている。